このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

世界企業パナソニック 90年目の決断 ― 第15回

日本企業は世界でどう戦うべきか?

北米市場で構造改革の成果が試されるパナソニック

2009年01月14日 12時00分更新

文● 大河原克行

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
今年1月に米ラスベガスで開催されたCESの会場でも、パナソニックブースは注目を集めた
今年1月に米ラスベガスで開催されたCESの会場でも、パナソニックブースは注目を集めた

 グローバル戦略を推進するパナソニックにとって、全社売上高の14%を占める北米市場は欧州、アジアと並ぶ重点市場となっている。

 その北米市場において、パナソニックは、構造改革と成長戦略に取り組んでおり、なかでも、2008年度からは、マーティング戦略を大きく転換した。

北米における体制の変更
北米における体制の変更

 商品戦略においては、これまでのプラズマテレビに集中特化した「PDP一本足打法」から、日本で先行したビエラリンクによる薄型テレビとプレーヤー、ホームシアターなどとのHD(ハイディフィニション)セットを軸とする提案へと舵を切った。

山田喜彦常務役員
パナソニックノースアメリカ会長の山田喜彦常務役員

 北米本部長であり、パナソニックノースアメリカ会長の山田喜彦常務役員は、「ブラウン管テレビ時代に、北米市場におけるパナソニックは、テレビメーカーとして主要なポジションにあったとはいえなかった。しかし、2003年の海外におけるパナソニックへのブランド統一にあわせて、プラズマという当社が得意とする技術を活用した商品が登場し、市場全体が薄型化、大画面化、デジタル化に大きく転換する時期を迎えた。この変化のチャンスを狙って、すべての投資をプラズマテレビに集中し、薄型テレビにおける存在感を一気に高めることに成功した」と、これまでの商品戦略の狙いを語る。

 2003年以降、北米市場におけるパナソニックの商品戦略は、「プラズマ、プラズマ、プラズマ」の大号令のもとに推進されていた。その結果、プラズマテレビ市場におけるパナソニックのシェアは、2004年には20%だったものが、翌年には50%を突破するまでに拡大した。

 「2007年以降、HD関連商品の品揃えが充実し、面展開で訴求することでパナソニックの強みを提案できると考えた。当初は、HD関連商品によるセット利用の楽しさを伝えきることができなかったという反省があった。だが、2008年から、情報発信を積極化し、面の訴求を強化してきた」とする。

 セット提案による面展開の具体策としては、セット展示店舗を全米2900店舗に拡大。こうした動きにあわせてリモコンひとつで楽しむことができるセット提案を、量販店店頭で体験できる仕掛けにも余念がない。

 同時に、2007年春からは、53フィート(約16m)のトレーラー1台と、28フィート(約8.5m)のトレーラーを3台配備して、グローバル・パナソニック・ロードショウの名称で、100万人以上の都市を中心に全米をキャラバンしながら、HDを核とした商品紹介イベントを開催する取り組みも行なっている。バスケットボールや野球、フットボール、自動車レースといった米国で人気のスポーツイベントの会場にも、トレーラーを持ち込んで訴求したという。

トレーラー 内部
全米を巡回しているトレーラー(左)と、その内部(右)。103インチプラズマテレビなどが設置されている

 トレーラーのなかには、103インチのプラズマテレビを配置し、オーディオラック、BDレコーダーやデジカメ、さらにはソニー・コンピュータエンタテインメントのPLAYSTATION 3までもセットし、実際に体験してもらう形をとっている。

北島嗣郎社長
パナソニック・コンシューマエレクトロニクス社の北島嗣郎社長

 パナソニックノースアメリカのパナソニック コンシューマエレクトロニクス社の北島嗣郎社長は、「パナソニックの商品価値を、きちっと理解し、説明してくれる店舗を対象に巡回した。実際に、キャラバンを行なった店頭では、大画面テレビの販売比率が上昇したり、レコーダーやオーディオラックとのセット販売が増加するという結果が出ている。また、なかには、当社製品の販売実績が前年比2倍に達したという店舗も出ていた。実際に体験していただくことが購入に直結しており、トレーラーによる巡回キャンペーンは大きな成果をあげている」と語る。

 キャラバンを行なった販売店では、平均して、前年比3割~4割増もの販売実績になったという。

 また、米国では、2007年から2008年にかけて、40家族を対象に、プラズマテレビやレコーダー、デジカメ、ビデオカメラ、PCなど、総額約200万円のパナソニックのHD関連商品を試用してもらい、使い勝手などをフィードバックしてもらうキャンペーンを行なった。

 商品の箱が届いたときに、家族のうち誰が箱を開けるのか、誰がどの機器を手にするのかといったこともリサーチし、日本からの発想ではなく、米国の生活様式を捉えた商品づくりやマーケティングに生かすことも狙った。

 試用後のヒアリングの結果、このキャペーンに参加した家族からは、HD機器の楽しさを知った喜びや、家族と一緒に過ごす時間が増えたといった声があがっているという。

 「米国でも核家族化は大きな問題。Living in HDをキーワードに、家族が一緒になれる商品として、HDによるセット提案は重要な鍵になる」とする。

 このように、パソナニックでは、2008年からセット提案を加速し、面展開によるユーザーメリットを訴求しているのだ。

 「ビエラリンクは、日本のユーザーには馴染みがある機能だが、米国では、まだ花が咲いている段階ではない。しかし、米国における客単価を引き上げるために、リンク機能は有効。米国では、ケーブルテレビが普及しているため、ビエラリンクの実現には、セットトップボックスをひっくるめた提案が必要となる。米国において、コムキャストと戦略的提携を発表したのは、ビエラリンクの実現のためには避けては通れない道ともいえる。今後は、テレビだけでなく、ビデオやムービー、デジカメ、そしてホームセキュリティまで含めた製品を提供できるパナソニックの強みを生かして、様々な製品をつなぐ提案を加速していく」と、AVCネットワークス社社長の坂本俊弘専務取締役は語る。

次ページ「流通戦略も徹底見直し」に続く

前へ 1 2 次へ

この特集の記事
最新記事
最新記事

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

アスキー・ビジネスセレクション

QDレーザー販促企画バナー

ピックアップ