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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第32回

ジョギングという行為に生きる「Sportio」

2008年07月24日 11時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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Sportioというソリューション


 そこで出てきたのがSportio。手の中にすっぽり収まる端末サイズと約86gという軽さは、今までの「高機能をコンパクトなボディーに詰め込む」という趣向からさらに外れ、コンパクトさを思い切り追求しているとても潔いデザインだと思う。

 もちろんボタンは小さくても押しやすいように出っ張らせているし、十字キーもちゃんとあるが、どうも僕の太い親指には使いにくい。

Sportioのボタンはちょっと小さい

Sportioのボタンはちょっと僕の指には小さ過ぎる。しかし慣れてくれば、割とちょこちょこメールもこなすことができそうだ

 しかし、それは大きな問題ではないのだ。この端末の価値は、ジョギングに持ち出せるケータイというところにある。

 au Smart Sportsボタンを用意し、一発でRun&Walkが起動できるほか、万歩計アプリが入っているので普段の移動における歩数なども気軽にカウントできる。ほかの端末ではいちいちRun&Walkアプリを起動しなければ計れなかったため、これは大きな進歩だ。

 さらに万歩計アプリで集計した結果も、Run&Walkに反映してくれる。自分の日頃の運動を漏らさずキチンと「見える化」できる、初めてのソリューションになる。

 ただひとつ残念なのは、おサイフケータイが付いていないこと。せっかくケータイひとつでジョギングに出かけるのだから、終わったあと水かスポーツドリンクをケータイだけで買えれば、ジョギングの完全なパートナーになっていたはずだろう。



走るテノリオン「BEATRUN」


BEATRUN

BEATRUN

 もうひとつ、Sportioで利用できる面白いアプリが、ヤマハとのコラボレーションで生まれた「BEATRUN」だ。

 アプリから発せられるビートに合わせてステップを踏む、もしくは走ると、聞こえてくる音楽に新たなトラックが追加される。うまくテンポを合わせられると、次々とトラックが加わっていって、音楽が盛り上がっていく、というアプリである。

 これはヤマハが発売したパフォーマー志向の電子楽器「TENORI-ON」に似ていると感じた(関連記事)。いわば、走るTENORI-ONとでも言うべき面白さだろう。

TENORI-ON

TENORI-ON。視覚と聴覚が融合していく感覚を自分の操作で行えるとても心地よい音楽インターフェイス

 TENORI-ONは、メディアアーティストの岩井俊雄氏とヤマハのコラボレーションで開発された音楽インターフェイスだ。16×16個のLEDが仕込まれたボタンが並んでいて、左から右へと再生箇所を表す光の帯が流れている。ボタンを押すとLEDが点灯し、光の帯が通ると、そのボタンに割り当てられた音が出る。

 つまり縦軸は楽器、横軸は時間で、LEDが点灯しているところでサンプリングの音が出る、という仕掛けがすぐに理解できる。ボタンを押しながらパターンを作れば、その場で自分が作った音楽がすぐに聴ける。視覚的な表現と音での表現がミックスして体感できる、とても心地よいメディアだ。

 TENORI-ONでは指でボタンを押して音を増やしていったが、BEATRUNで音を増やすには自分のステップが入力になり、より体感的に音を楽しむインターフェイスが新しい感覚になる。

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