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2008年04月09日更新

6年間の開発魂! 楽器NGでも作曲家にさせるヤマハ「TENORI-ON」

テノリオン
2007年9月に、イギリスで599ポンド(1ポンド240円で、約14万[当時])で発売。4月25日には、青山のSPIRAL HALLにて、Launch Eventが開催される

2007年9月、イギリスでまったく新しい電子楽器「TENORI-ON(テノリオン)」が発売された。メディアアーティストの岩井俊雄さんとヤマハのコラボレーションによって誕生したこの楽器は、正方形のフレームの中に整然と配置された16×16個のLEDボタンが特徴である。音と光による新しい演奏スタイルは現在さまざまなミュージシャンの支持を集め、アイスランドの女性歌手ビョークなどもライブセットに取り入れているそうだ。このヤマハのTENORI-ON開発者である西堀佑さんに、この楽器の魅力と開発経緯、彼のキャリアについてを聞いた。

楽器は弾けないけど、作曲のセンスあり!?

 TENORI-ONの16×16個のLEDボタンは、押すと縦の並びが音階で、横は同じ音程で音が鳴るよう配置されている(演奏試聴)。LEDボタンを押すと音とともに発光し、長押しすると音を置く(ドットを残す)ことができる。これに用意されたループモードと組み合わせて音楽を奏でる仕組みだ。ループモードは6種類あり、他にもレイヤー(トラック)を重ねることで(最大で16個)、複雑な音楽を演奏することができるという。

西堀佑さん
西堀佑さん 1978年生まれ。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、ヤマハ株式会社に入社。イノベーティブテクノロジー開発本部に配属となる。ヤマハ側のプロデューサーとして、メディアアーティスト岩井俊雄さんと共にTENORI-ONの開発に携わる。現在、サウンドテクノロジー開発センター主任

「TENORI-ONは、この楽器ならではのループ機能を使うことで、新たな音楽を演奏・作曲できます。これも魅力の1つですが、最大の特徴は音楽の構造、つまり音がどうやって鳴っているのかを視覚的に光で見れる点です。例えば、ミュージシャンによるラップトップの演奏は、オーディエンスにしてみれば、どうやって演奏しているのか、何をしているのか全然分からなかったと思います。彼ら(ミュージシャン)もそこを気にしていて、TENORI-ONを『光で演奏を見せられる楽器』として支持してくれているようです。TENORI-ONはコンピュータとも繋げられるので、TENORI-ONをラップトップ・システムのトリガーとして使ったり、楽器としての特徴を上手く生かしてくれていますね」

 「やっていることも見せたい」というのは、現代のニーズの1つだろう。インターネットの普及によって、ブログで写真と文章を掲載したり、YouTubeでオリジナルの映像を公開したりと、世界に向けて表現することが身近になってきた。多くの人が表現することを楽しんでいるのだ。ただ、音楽の楽器演奏は「できる人」などに限られ、少しハードルが高かったと言えるが、TENORI-ONはそのハードルを低くしてくれる楽器と言える。

「TENORI-ONには、楽器を弾ける素養は必要ないでしょう。どちらかと言うとリスニングの素養を必要とする楽器です。作ったメロディーを何回も聴いて『ここじゃないな、ここだな』というように、『グッとくる音』を見つけていきます。今鳴っている音楽にどの要素が加わるともっと格好よくなるのか、その追求を楽しむというわけです」

 西堀さんのもとには、ドイツ人の友だちからTENORI-ONで作曲した音楽が送られてくるという。その友だちは楽器はできないが、音楽を聴くのが大好きな人物で、寝る前にベットの中で作曲したそうだ。

「音楽の素質はあったんだけど、楽器に縁がなかった人向きの楽器でもありますね。ドイツ人の彼なんかは『僕にとって最初で最後の楽器がTENORI-ONだ』と言ってくれています」

テノリオン テノリオン
ジョグダイヤルを操作することで、メニュー操作、さまざまなパラメーターを変えることができるJim O'Rourke(ジム・オルーク)、作曲家・編曲家・プロデューサー。Gastr Del Sol、Red Krayola、Sonic Youth のメンバーとして活躍、自身もソロで活動している。TENORI-ON公式ページでは、彼をはじめ、多くのアーティストのデモ演奏が聴ける
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