このページの本文へ

よろしくパソドック 第10回

【よろしくパソドック Vol.10】

魔法の特定ゲーム用デバイス「みるきぃ・ソーセージ」【みるきぃ・マウス前編】

2008年02月16日 23時59分更新

文● 藤山 哲人

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

電源が問題だ

 マウスの軸を回すのに使うのは、タミヤの「ユニバーサルギヤーボックス」とプーリーだ。パワーユニットは、マブチモーターのFA-130。
 ここで問題になるのが電源である。マブチモーターのWebサイトによれば、使うモーターの電圧は1.5~3V。無負荷状態の電流は0.2A(1.5V時)となっている。
 かたやパソコンから取り出せる電圧は、5Vか12Vのみ。これだとモーターを焼き切ってしまうので、別に電源が必要になる。もちろん電池を使う手があるが、デスクトップが広いパソコンや素早くマウスを動かしたい場合などがあり、できれば可変電圧タイプの電源が欲しい。
 そこでまずは、PCの電源から1.5~3Vが取り出せる電源回路を作るところからはじよう。

可変電圧パワーユニット LM317を知ろう!

 世の中には、便利なものがある。安っちいがフラフラと不安定な電圧が出てくる中国製のACアダプタを使っても、きれいな5Vや9Vなどの電圧を取り出せる、7805や7809といった3端子レギュレータである。外付けコンデンサ2個で、安定した電圧を取り出せるとあって、ACアダプタを使う電気機器には必ずといっていいほど使われている超・メジャーの石だ。
 ただこれらのレギュレータは、出力電圧が固定されているのがさら難点。でもさらに便利な3端子レギュレータがある。抵抗を数本接続すると、1.2V~37Vまで自由自在に電圧を変えられる3端子レギュレータ、それがLM317だ。

LM317-T

今回の主役、3端子レギュレータLM317-T

 基板に実装する小さなチップタイプのものもあるが、今回利用するのは写真のようなLM317-Tという標準的なもの。これを使ってパソコンの電源を1.2~3Vに変圧しよう。
 LM317-Tの最大電流は、資料によれば1.5Aとなっている。キャパシティに問題がないかを検討するために、工作で使うモーターをギアボックスに組み込んで電流を測定。結果1.5V時には0.2A、3.0V時には電源投入時は0.35A、その後0.27Aで安定して回転した。これならモーターを同時に2個駆動してもLM317-Tの最大出力電流1.5Aを上回る(3Vで2個駆動しても突入時で最大0.7A)ことなく、余裕シャクシャクだ。
 次に考えるのは、PCには5Vと12Vの電源があるという点。1.5~3Vの電圧が欲しいので、PCの5Vを引っ張ってくれば問題ないように思えるが、レギュレータの特製上(7805も7809も同じ)、入力電圧は出力電圧の3V以上という縛りがある。つまり最大3Vの電圧を取り出すためには、6V以上の入力電圧が必要なため、5Vでは入力電圧不足である。そのため今回は、PC側の12Vを1.5~3Vに変換するようにする。
 そしてもう1つの問題。入力電圧は12V、出力電圧は1.5~3V。では、この差の10.5~9Vのエネルギーはどこにいってしまうのだろうか? 答えはLM317自体が熱を持ち、熱エネルギーとなって空気中の消えてゆくのだ。
 そこで、LM317にはヒートシンクを取り付けて効率よく熱を放出させてやることにした。ただ、これは製作後に分かったことだが、マウスってそんなに連続して動かすものじゃないので、LM317が触れなくなるほど熱くはならなかった(タハハハ……)。ま、今回は保険ということで。LM317に合うヒートシンクなんて見つからネー(そんなことはまずないが)という場合や、ヒートシンクになんてビタ1紋も金出せネ!という場合は、なしでもOK。ちなみに発熱量も計算で出てくるが、趣味の工作じゃぁ、とりあえず作って指で触ってみるのが手っ取り早い。
 基本的な回路は、こんな感じだ。

LM317を中心に抵抗とコンデンサのみ

これが可変電圧電源の回路図

 右側がPCからの12V、左側がモーター駆動用の1.5~3Vの出力となる。C1は、0.1μF(表示番号104)のコンデンサ、C2は1μFの電解コンデンサ(耐電圧3V以上なら10Vでも50VでもOK)だ。R1は抵抗1/4Wの240Ω(赤黄茶)抵抗で固定。電圧を決定するのは、R2の抵抗となる。
 LM317の資料によれば、

VOUT=1.25V(1+R2/R1)+IADJ(R2)

 なーんて難しい公式が書いてあったが、R1は240Ω固定なのと誤差レベルを無視してやれば、こんな計算式でR2の抵抗値ははじき出せる。

R2=(240*V-300)/1.25

 こんだけである。取り出したい電圧の値を公式のVに入れて、実際に計算すればR2が出てくる。この式のVに1.5と3を入れて計算したR2の値は、次の通りだ。

 1.5V時:R2=48Ω 3V時:R2=336Ω

 ただドえらく中途半場な抵抗値(こんな抵抗売ってネ!)なので、実際の工作では、

 1.5V時:R2=50Ω 3V時:R2=350Ω

とした。
 これらのR2を入れたときの出力電圧は、V=1.25*(1+R2/240)で計算できるので、1.51Vと3.07Vとなる。ま、このぐらいの誤差ならノープロブレムでしょ。
 勘のいい読者は、すでにお気づきかと思うが、R2をボリューム(可変抵抗器)にすれば、スムーズな電圧調整も可能だ。ただ今回は、HI-LOWの2段階切り替えとして、最終的に次のような回路にした。

スイッチで抵抗値を切り替える

1.5Vと3Vの切り替え機能付き回路図

 電圧の切り替えは、R2-1の50Ω、R2-2の300Ω、そして3Pのトグルスイッチだ。トグルスイッチを回路図のように右側に倒せば、R1の値は50Ωなので出力は1.51Vになる。逆に左に倒すとR2は、R1-1とR1-2の合計で350Ωとなるため、出力が3.07Vになるという具合だ。回路はこれが正解というわけじゃないので、色々アレンジしてみてもいいだろう。

(次ページへ続く)

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

ASCII.jpメール アキバマガジン

クルマ情報byASCII

ピックアップ