アクチュエータユニットの作成
ここからは、実際にキーボードを押すアクチュエータの製作だ。この工作で使っているのは、千石電商で入手した新電元メカトロニクス社製のSK0640Cオープンフレームタイプ。バリバリ電磁石なオープンフレームタイプは引っ張ることしかできないが、安いのが魅力だ。
千石電商には、円筒形のチューブラソレノイドあり、電源をつなげると押すタイプのソレノイドも販売しているが、オープンタイプの2倍ぐらい高い。資金に余裕があれば、テコなど作らずにキートップの上にチューブラソレノイドのプッシュタイプを固定して、ガンガン叩いてやってもいいだろう(携帯電話のキーの打鍵テストでは、チューブラソレノイドのプッシュタイプが実際に使われている)。
1)リンクアームを作ろう
タミヤのユニバーサルアームセットを使って、リンクアームを作る。まず、穴6個が残る(両端の壊れた穴はカウントしない)ように切断。
その後、写真のように角を切り落としてやろう。プラスチック製のアームなので、ニッパで簡単に切断できる。
2)サーボホーンにリンクアームをつける
ラジコン用のサーボにつける十字サーボホーンに、リンクアームを取り付ける。取り付けには、サーボホーン用のネジを使うか、DIT店で売っている極細のタッピングネジを使おう。
リンクアームはがっちりサーボホーンに固定するのではなく、スムーズに動く程度に固定する。若干ゆるいかな?という程度にしておかないと、ソレノイドのパワーを使ってしまうので要注意だ。
3)リンクの支柱を作る
L字ブラケットもタミヤのユニバーサルアームセットに添付されている。これを使ってサーボホーンの中心の穴を2つのL字ブラケットで固定しよう。
ホーンに通すネジは、2連ソレノイドの場合でM3 30~40mm、1連の場合でM3 30mmがいい。なお、ホーンの穴が小さくネジが通らない場合は、キリやドリルで穴を広げホーンがスムーズに回転するようにしてやろう。
ホーンとL字ブラケットの間は、ネジについてくるワッシャを何枚か重ねてスペーサー代わりにするといい。さび防止や潤滑のために、クレCRC-556(ミシン油系)などを軽く拭いておくのがベストだ。グリスは粘度が高く、ソレノイドのパワーをムダに食いそうなのでお勧めできない。
ネジの反対側は、ナットで仮止めしておこう。
4)レイアウトを決めてリンクとソレノイドを固定
アクチュエータユニットの土台には、タミヤのユニバーサルプレートを使う。5mm間隔で穴が開いているため、メカの動きを見ながらパーツの位置を調整できるので、非常に便利だ。
ここで問題になるのが、ソレノイドの特性。磁石がそうであるように、磁石から遠い物体を吸い付ける力は小さい。だが一定の距離まで近づけると、途端に吸引力が大きくなり、手で引っ張ってもガッチリくっ付いて離れない。物体との距離が離れると吸引力(磁力)は、2次曲線を描いて弱くなるのである。
メーカーのWebページのデータを参考にするとよく分かるだろう(縦軸は対数になっている)。ソレノイドの鉄心(プランジャ)は、かなりストロークがあるように思えるが、引っ張れるのは4~5mm程度だと思っていいだろう。6mm離れると吸引力は1/10以下になるのだ。
これを考慮して、ソレノイドとリンクをユニバーサルプレートに配置していく必要がある。もし同じパーツ表どおりの部品が入手できた場合は、次の写真を参考にして欲しい。
裏面から見たユニバーサルプレートと、ネジの位置だ。赤い線は、分かりやすいように穴5つごとにマーキングしたものとなっている。
L字ブラケットの取り付け穴も、5mm単位になってしまうため適宜ワッシャを入れて調整しよう。
(次ページへ続く)
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