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いま聴きたいオーディオ! 最新ポータブル&ハイエンド事情を知る 第10回

長期試用レビュー

夢から覚めるリアルさ、DITA Dreamのクリアすぎる音質にため息 (2/5)

2017年08月18日 18時45分更新

文● 小林 編集●ASCII

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チタンの新筐体を採用し、正確さに磨きがかかった

 Dreamがどんな製品か、具体的に見ていこう。

 シンガポールを拠点とするDITA Audioは、2013年ごろに登場した比較的新しいブランドだ。すでに書いたとおり、ダイナミック型ドライバーの性能を引き出すことにこだわったハイエンドイヤフォンを開発している。

パッケージには開発者のダニー氏、デスモント氏のサイン入りコメントが入っている。

 徹底してシンプルな構造に、厳選した素材と高精度なパーツを組み合わせるのがDITA流。細部にこだわり、ピュアオーディオのように純度の高いサウンドを提供する思想は過去の製品から一貫している。

 DreamはそんなDITAの最新モデルにしてフラッグシップという位置づけだ。

 DITAはこれまで「Answer」「Answer Truth」「Answer Truth Balaced」、(途中真鍮製の限定モデル「Brass」を挟んで)「Awesome Truth」といった製品を投入している。Dreamではハウジングをアルミ合金から高精度に切削したチタン合金に変え、デザインも一新している。

Van den Hulのカスタムケーブル。このプレートの裏側を見ると、銀色のケーブルがチラ見できる

 標準の「The Truth」ケーブルは、オランダVan den Hulの3T技術(True Transmission Technology)を使ったカスタム品。線材は純度の高い銅を銀でコートしたもの(SCMC-OFC)。イヤフォン側はIEM 2pin、プレーヤー側はねじ込み式で簡単にプラグ交換ができるAwesome機構を備えている。リケーブル(ケーブル交換)は、Dreamからの対応だ。

 新設計のドライバーは、マイラー素材にカーボンマルチコートを施した振動板を使用する。直径は従来機種と同じ10mmで、インイヤー型としては大きめだ。振動板から発せられた音は、金メッキ処理した前面のウェーブガードで位相を整え、アコースティックダンパーを経て導管(ステム)に伝わる。

 こだわりのひとつが、ドライバーの選別だ。左右の特性をごくごくわずかな誤差に収めることで、左右のバランスを適切に管理し、定位感や空間表現の正確さを追究している。

ハウジングの側面(前)にベント穴がある

 チタン製のハウジングは、高精度に切削加工したうえで(DITAの親会社は金属加工のプロだそうだ)、シャーシ部分を、日本の企業によって平滑に研磨している。チタン合金はアルミより重く、かつ高剛性であるため、音のにごりにつながる余分な振動を抑制できる。密閉型だが、ベント穴を設けており、振動板をスムーズに駆動させられる。

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