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いま聴きたいオーディオ! 最新ポータブル&ハイエンド事情を知る第14回

選ぶ楽しみ、そして使いこなす楽しみ、双子のDITAを体験

2018年09月03日 17時00分更新

文● 小林 久 編集●ASCII

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 世界には様々なイヤホンブランドが存在する。その中で、DITAは“個人的に気に入っているブランド”のひとつだ。シンガポールを拠点とした比較的新しいブランドだが、真面目というか、モノづくりに対して一本筋が通ったところがあって好感が持てる。

 ブランドの信念のひとつに「シングルダイナミック型ドライバーの採用に集中する」というものがある。ダイナミック型ドライバーを1基のみ使用する構成のイヤホンはもっともベーシックな形式だ。逆に高級機での採用は珍しい。最近ではハイブリッド型やBA型ドライバーのマルチ構成が主流となっており、複雑な構成にすればするほど、高価であっても受け入れてもらいやすいし、カタログスペックなどでアピールしやすくなる。

 もちろんダイナミック型ドライバーの採用には魅力もある。音圧感があり、(BA型に比べて)広帯域であり、回路もシンプルにできる(1基でも高域から低域まで幅広い周波数をカバーできる)。ある意味枯れた技術なので、1台数百円の安価なモデルにも採用できるが、利点をしっかりと引き出せば、高級機として遜色ない性能と音質を得られるものでもある。

 DITAの製品はデザインの面でもどちらかと言うと地味な印象を与える。しかしブランドが理想とするサウンドを定め、真面目にコツコツと改善しているブランドでもある。そういう姿勢に共感できる人にとっては最適だ。そういう人こそが手にすべきブランドではないかと思う。

 ここで紹介する新製品「Fidelity」と「Fealty」のパッケージにも開発者のダニー氏とデスモンド氏の署名が入っていた。そしてそこには「私たちの音に対する信念を分かち合えることを大変嬉しく思います。」というメッセージが添えられていた。DITAを選ぶということは、開発者の想いに共感することなのかもしれない。

Dreamのサウンドはほかでは得がたいもの

 そんなDITAのフラグシップ機と言えば、昨年秋に登場した「Dream」となる。発売時の国内価格で20万円を超した“超高級機”である。

Dream

 Dreamは細部に手を抜かない機種だった。左右のドライバーを選別して特性をピッタリと合わせたり、アルミよりも格段に加工が難しいチタン製の筐体を採用しているにも関わらず、高い精度を得るために日本企業の力を借りながら、内部を極限まで平滑に削ったという。こだわった仕様ゆえに、製造にも手がかかり、継続した市場投入は難しかったようだ。発売から3ヵ月程度と短期間で生産が完了してしまった。

 しかしその透明感あふれるサウンドは、世界で高評価を得た。率直に言えば、法外と言ってもいいほど高価な機種だが、研ぎ澄まされたようにシャープで鮮烈な高域の伸びであったり、解像感が高く明瞭な低域などからは、見合った価値を感じ取れる。

 筆者もDreamのユーザーのひとりだが、2.5mm4極/3.5mm3極/4.4㎜5極端子をプレーヤーに合わせて簡単に交換できる「Awesomeプラグ」の便利さもあり、高級イヤホンのベンチマークになる機種だと思っている。

Dreamに続く次の一手が双子のシングルダイナミック機

 5年ほど前のAnswerから始まったDITAのイヤホン開発は、このDreamで一段落が付いた。その次の一手となる新世代のモデルが「Fidelity」と「Fealty」である。

 価格はともにほぼ14万円で、Dreamの2/3程度だが、シングルダイナミック型ドライバー採用のイヤホンとしてはハイエンドの製品と言っていいだろう。

 筐体はアルミ合金製で、ケーブルなどもThe Truthケーブルの改良版となる。そのためDreamの下位機種に見えるかもしれない。

 ただし、後述するドライバーの違いによって、DITAは「新たな一歩を踏み出した」と感じる面もある。Dreamはシャープで切れのあるサウンドを実現する一方で、高域と低域に気持ち強調感があるというか、中域が気持ち痩せる傾向があるというか……言い方を変えるとリスニング寄りの味付けを感じた。一方で最近のイヤホンでは中域~中低域がもう少しふくよかで、リッチな表現が好まれる傾向がある。

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