低い数字は上積みを想定
NECにとって海外事業比率の拡大は長年の課題だ。今回の中期経営計画では、海外事業の売上高を6000億円から、8000億円へと拡大。海外売上比率を、2015年度実績の21%から、2018年度には27%に引き上げる考えだ。新たにCGO(チーフ・グローバル・オフィサー)を配置することで、国内電機大手8社のなかで最も低い海外事業比率の引き上げに挑む。
「国内は、既存事業が落ち込むものの、ヘルスアケや農業、クルマといった領域での新たな事業機会を想定しており、ほぼ横ばいを想定。それに対して、海外は年率10%増の成長を目指す。そのほとんどを3つの注力領域が占める」という。
セーフティ事業では、2015年度に420億円だった海外売上高を、2018年度には3.4倍の1420億円に、グローバルキャリア向けネットワーク事業はグローバル売上高で1200億円から1.8倍となる2100億円へ、リテール向けITサービスではグローバル売上高を1340億円から1.2倍となる1600億円にまで拡大する。
この3つの売上高合計では1.7倍に拡大する計画。前中期経営計画では、4つの重点領域において、2013年度の1200億円を、2015年度には2300億円へと1.9倍に拡大させた成果を、今度はこの3つの領域で再現させるつもりだ。3つの注力領域の成長は、まさにエンジン役となる。
だが、2018中期経営計画の数値目標については、慎重すぎるとの見方もある。
年平均成長率は2%というのは、「成長の柱づくりに取り組む」というにはやや迫力不足だ。
新野社長も、「数字が少なく見えるかもしれない」と、それを認めながらも、「確実に達成する最低限の目標にしたい」と語り、最終的な上積みを視野に入れていることを示す。
成長戦略に踏み出せない状況が続いているNECだが、慎重な数字にコミットしつつも、どこまで上積みすることができるかが、この新中期経営計画における隠れた焦点となりそうだ。
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