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業界人の《ことば》から ― 第174回

戦略は「顧客体験価値の最大化」

4Kで需要は回復しない、ソニーがテレビを再定義する

2015年12月12日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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今回のことば

 「数で業界全体を伸ばすシナリオは描きにくい。いま大切なのは、使って楽しくなるような顧客体験価値を提供すること」(ソニーマーケティング・河野 弘社長)

テレビ市場、いまこそ新たな価値の提案を

 ソニーマーケティングは、4Kテレビ「BRAVIA」、デジタルカメラ「α」、そしてハイレゾオーディオを年末商戦における主力製品に掲げるとともに、「商品本質価値+顧客体験価値の最大化」を基本戦略とする考えを示した。

 河野 弘社長は「数によって業界全体を伸ばすシナリオは描きにくい。また、スペックなどの切り口だけでは価値を最大化できないといえる。いま大切なのは、使って楽しくなるような顧客体験価値をひとつひとつ提案していくこと。これによってソニーの成長だけでなく、業界全体の成長に貢献したい」と語る。

「商品本質価値+顧客体験価値の最大化」で、業界全体の成長をねらう

 2011年7月の地デジへの完全移行を境に、それまでの特需の反動もあり、国内テレビ市場は低迷を続けている。ピーク時には約2500万台にも達したテレビ需要は、2012年以降、年間500万台強で推移。ピーク時の5分の1となっている。この年末商戦も、その傾向は続いている。

 需要が低迷するなかで、いかに需要を喚起するか。その回答としてソニーマーケティングが取り組むのが、顧客体験価値の最大化というわけだ。量が見込まれた時期は価格で売れたが、量で売れない時期は、むしろ、メーカーの提案力が重視される。シェア争いの軸も、価値提案の比重が強まるようになる。

 「これまでのテレビ市場は、技術が進化しても単価下落が激しく、結果として業界全体が成長しないということを繰り返してきた。いまこそ新たな価値の提案が必要だ」(ソニーマーケティング 河野社長)

ゴールは「ソニーファンの創造」だ

4Kブラビアはネット接続率70%「テレビを再定義している」

 今年の年末商戦で、ソニーマーケティングが重点製品と位置づける液晶テレビ、デジタルカメラ、オーディオといった製品群において、同社は顧客体験価値の最大化を切り口に提案活動を行なう考えだ。たとえば、テレビでは4K解像度などの画質訴求だけに留まらず、コンテンツ価値の訴求に力を注ぐ。それが顧客体験価値の最大化につながるからだ。

 「今年、ソニーのテレビはAndroid搭載モデルへとシフトし、幅広いコンテンツを体験してもらうという新たなコンセプトの立ち上げに試行錯誤を繰り返してきた。HuluやNetflixなどを通じてテレビの新たな価値を提供するという、これまでにはない挑戦も行なった」としたほか、「クックパッドは動画をふんだんに活用することで、ブラビアに最適化したアプリへと進化。ブラビアユーザーの間で、トップクラスの人気を誇るアプリになっている」と語る。

 4Kブラビアのネット接続率は70%弱に達しており、テレビ番組の視聴だけではなく、ネットを通じたテレビの楽しみ方も提案している。「新たな顧客体験価値を提供することで、テレビを再定義している」(河野社長)というわけだ。


(次ページ、「ハイレゾの普及は、新たな段階に突入した」)

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