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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第144回

開けるだけで指を切らない構造

怪我しない! 開けると刃先が丸くなるスゴイ缶詰「チュナ缶」はこうしてできた

2015年06月13日 12時00分更新

文● 四本淑三

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怪我を防ぐためには指に触れないようにすればいい

―― 社長は、ずっと金属加工の仕事をされてきたんですか?

谷内 終戦後、東京に来てからね、金型とか金銀の分析とか、そういうものをずっとやってきたの。今年で68年目ですよ。

―― 何かヒントはあったんですか?

谷内 怪我を防ぐためには、刃先が指に触れないようにしなけりゃいけないってことで、丸めればいいんだと。それで、のめり込んでいったら、奥が深くてさ、大変だったんだ。で、5年もかかって完成させたんだ。

―― でも、5年でできちゃったんですね。

谷内 うん。私が一番先にできた。売りだしてみたら、どこもできていなくて。世界中の研究機関がこぞって開発していたんだな。

―― 丸めるというアイデアは思いついても、イメージ通り金属を加工する方法は大変ですよね。蓋って丸い金属だし。

何度見ても不思議なダブルセーフティープルトップ缶のモデル。上が開缶前のS字型に圧縮された状態。下がプルリングを引いて開缶した状態。切り口が丸め込まれた状態になり、指に当たらないのだ。もちろん詳細は企業秘密なので、これで加工プロセスを何となくイメージして欲しい

谷内 でもね、こうやって上から圧縮するでしょ、すると行くところがないからSの字になっていくんですよ。

杉原 1回のプレスでこんなS字型になるんですか?

渡辺 いや、これは何回もプレスをかけています。徐々にやっていくんですね。

杉原 順送型ですよね。1回目、2回目とプレスに流れていく。

―― おっ、やっとメーカーの方らしい発言が。

杉原 これはすごい……。

こうして作られたダブルセーフティープルトップ缶の蓋の外周には、独特の凹凸が見られる

(次ページでは、「スーパーで缶を見かけない理由

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