コレクションと満足感、そして人と違う雰囲気を味わう贅沢
普段はヘッドフォンなどで音楽を聴くことが多かったと話す八尋だが、大型のスピーカーでレコードを聴くという体験に衝撃を受けたらしい。比較的無口な性格だが、試聴の帰りの電車でも興奮気味に感想をポツリポツリと述べており、言葉の端々から、カルチャーショックを受けたような感情を垣間見せた。
今回試聴したソース、たとえばNegicco/Melody Paletteの『アイドルばかり聴かないで』ではハイレゾ音源の高域が少し硬質でハイハットの音色などでレコードとの違いを感じる。全体にワイドレンジでボーカルも明瞭。一方でレコードは甘い音色感があり、低域の広がりなどが豊かで独特の雰囲気があった。
滑らかなボーカルという意味では中島美嘉/BESTから『雪の華』。CDにはないようなきめ細やかな音色は、同席していた担当全員がため息をつくほど。K-ON!の『Don't Say "lazy"』ではベースが甘く、チューブアンプを通したような豊かな響き。ももいろクローバーZ/5TH DIMENSIONは重量盤で『サラバ、愛しき悲しみたちよ』を聴くとナローレンジながら、ボーカルの明瞭な感じが増すなど聴きなれた曲が異なるニュアンスを見せる。
共通していえるのはレコードで聴くことで、音楽の聴こえ方が少し変わってくるという点だ。レトロなゲームミュージックは音源自体はプアであるはずだが、独特な雰囲気があり、打ち込みの電子音をCDで鳴らすのとは異なる奥行き感なども見えてきて新鮮だった。
アナログレコードの新盤は現状コレクターズアイテムという意味合いが強いものかもしれないが、鳴らしてみるとそれはそれで味わいがあって面白い。冒頭に書いたように迫力あるジャケットサイズや、手にした際の重量感といったレコードならではの要素が、CDやファイル再生にはない満足感を与えてくれる。
デジタル化が進んだ現代の音楽環境だから改めてアナログに目を向けてみたい。そんな風に感じさせる要素満載の取材であった。
今回の試聴システム | |
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アナログプレーヤー | PD-171 |
フォノイコライザーアンプ | E-200 |
コントロールアンプ | C-800f |
パワーアンプ | M-800A |
D/Aコンバーター | DA-06 |
SACDプレーヤー | D-08 |
スピーカー | B&W 802sd |
(協力:ラックスマン株式会社)
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