側面→側面&背面排気の冷却システム
本製品の見どころは「ILAS(Intelligent Lateral Airflow System)」と名付けられた設計だろう。外観を見ればわかる通り、前面パネルはソリッドな一枚板で吸気口の類は一切ないが、その分前面手前側とビデオカード直上部分に大きな吸気口が設けられている。ILASのLateralとは、この側面から採り入れた空気を背面に出す、ということを意味しているのだ。
Abee製品の全体的な特徴として、ツールレス式のドライブベイのようなスナップイン式の機構やプラスチック製パーツを極力使わず、ネジでの固定にこだわっている点が挙げられる。本製品もその哲学が色濃く出ており、ビデオカード用冷却ユニットやドライブベイの固定も全部ネジを使用する。
そのため本製品の組み立てやすさやメンテナンス性は今どきのPCケースとしては大きく劣るのは仕方がないところだ(パネルの噛み合わせなどの設計精度の高さもこの面ではマイナスといえる)。しかしその分確実に固定でき、破損や経年劣化の心配も少ない。これぞと決めたパーツでビシッと組みたいなら、本製品のような古典的な設計のケースは素晴らしく映えるだろう。
ただ出荷時の美しさを追求するためか、ケースファン用の電源ケーブルがファンにテープ留めされている。ビデオカード用冷却システム内部のファンを使うのにフードを分解する必要があるのには参った。美しさ優先なのはいいが、もうちょっとユーザーに歩み寄った仕上げにしてほしいものだ。
動作時の温度をチェック!
それでは各部温度の測定に入ろう。独特の冷却システムがどう機能しているかに注目したい。
ビデオカードを覆うファン付きフードの力には期待していたが、特別低くなるわけではなかったのは残念だが、どの部位の温度も平均して低くなっている。
前面吸気ファンを持たない分CPUの温度が心配だったが、ビデオカード用フードから流れ込んだ気流がCPU周辺に上手く流れていくようで、意外とCPUも冷えるようだ。価格は高く、組み立て時の手間も相当だが、上手く使いこなせれば強力な武器となるだろう。
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