業界人の《ことば》から 第35回
たまたまではない、また、テレビCMにお金を使っているからでもない
ソフトバンクが純増No.1になったのは頭を使っているからだ
2013年04月16日 09時00分更新
日本オラクルが、4月9日に、東京・六本木のグランドハイアット東京において開催した「Oracle Cloud World Tokyo」は、米オラクル・コーポレーションのラリー・エリソンCEOによる米サンフランシスコから衛星中継を通じた基調講演に、ソフトバンクの孫正義社長がゲストとして登壇する豪華なものになった。
そのなかで孫社長は、アップルの故スティーブ・ジョブズ氏と交友を深めたきっかけを、ラリー・エリソン氏が作ってくれたと披露し、「ラリーが、私とスティーブを自宅で呼び、桜の樹をみながら、3人で将来のコンピュータの世界について議論をした」などと語った。
エリソン氏の講演内容が、同社が提供するOracle Cloudの強みを訴える内容になったのに対して、孫社長の講演内容は、ソフトバンクが50以上のプロジェクトでオラクル製品を活用していること、それによって、ビッグデータの分析により、様々な効果が出ていることを示した。
孫社長が、「社内には絶対公開するなといっている内容を特別にお話しする。本邦初公開の内容」として語ったのは、電波改善による接続率の改善、純増数ナンバーワンという、同社の中核的ともいえる戦略に、ビッグデータを活用している事例だった。
3つの中核でビッグデータを活用
孫社長が披露したのは、「電波改善」「ツイート解析」「行動ターゲティング」の3つのビッグデータ活用であった。
電波改善は、最近の同社のテレビCMにおいて、「つながりやすさナンバーワン」を唱っているように、同社事業の基軸ともなっている、携帯電話の接続率の改善へとつながっている取り組みだ。
ソフトバンクでは、スマートフォンのアプリ通信ログを月間1億9000万件収集し、パケット接続率を調査している。これは30分ごと、または移動時に、端末から位置情報を送信し、圏外や10秒の通信負荷の場合には接続NGと判断するというものだ。これにクレーム情報、建物情報、基地局情報など300億件のレコードを組み合わせることで、「基地局を1カ所だけ設置するならばどこが効果的か。それを導き出すことができる」と、その成果を示す。
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