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業界人の《ことば》から 第35回

たまたまではない、また、テレビCMにお金を使っているからでもない

ソフトバンクが純増No.1になったのは頭を使っているからだ

2013年04月16日 09時00分更新

文● 大河原克行

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ビッグデータがソフトバンクの接続率を変えた

 ではどれぐらいの成果があったのか。

 4月7日時点の最新データでは、パケット接続率では96.7%となり、NTTドコモの96.2%、KDDIの96.0%を抜いたほか、iPhoneのパケット接続率では97.6%と、KDDIの95.9%と差を広げた。さらに、ビックデータから都市部、住宅地、山間部でも勝っていることを示したほか、関東、東海、関西において、LTEの接続エリアが広いことを示した。

ビッグデータ解析によって接続率の大幅な向上が得られたとする

特に山間部での大幅な改善が得られる

エリアや時間別パケット接続率の改善

主要なランドマークでの接続率

 孫社長は、基調講演の聴講者にソフトバンクを使っているユーザーを挙手させたところ、実際のシェアを上回る約7割の人が手をあげたほか、ソフトバンクがつながりにくいと思っている人は、少数に留まり、実感としても電波状況が改善されていることを裏付けるものになった。

 「いまは大学、ゴルフ場、スキー場でのつながりが悪い。また、午前8時の通勤時間帯がつながりにくい。これを改善するためにどこに基地局を置けばいいのかをビッグデータから導き出す」と語る。

 2つめのツイート分析では、TwitterやFacebookから無作為で抽出した年間8200万件の投稿を、自然言語解析により分析し、どんな発表や施策を行ったときに、ソフトバンクに対してポジティブな反応と、ネガティブな反応がどう出ているのかを分析。ポジティブツイートの上昇率をもとに、満足度向上につなげる施策展開につなげているという。

自然言語処理を取り入れ、ポジティブ・ネガティブな反響を解析

 そして、行動ターゲティングでは、Yahoo! JAPANの500億件のページビューの行動履歴をもとに、6000万ユーザーのなかかターゲットとなる宛先を抽出。他社のユーザーで、買い換えそう携帯電話を持っているユーザーや、キャンペーンに関心が高いであろうユーザーに向けてバナー広告への誘導や、クーポンを提供するキャンペーンを打っているという。

ターゲッティング広告によりクーポン利用率が目標を上回る成果に

 「的確なターゲティングにより、クーポン利用者は、当初目標の2.5倍に達している」という。

 こうした事例を紹介しながら孫社長は、「ソフトバンクが純増ナンバーワンになったのは、たまたまではない。また、テレビCMにお金を使っているからではない。頭を使っているからである」と、胸を張った。

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