ソーラーウインズの「Network Performance Monitor」は、PingやSNMPを用いたオーソドックスなネットワーク管理ツールだ。低価格、シンプル、管理者フレンドリーなNPMの使い勝手を、画面を見ながら説明していこう。
低価格ですぐに利用できるNPM
ソーラーウインズはIT運用管理ツールを手がける米国のソフトウェアベンダーで、主力製品のNPMのほか、アプリケーションやサーバー、仮想化環境、パッチ、ログ&イベント、ストレージなどさまざまな管理ツールを提供している。これらソーラーウインズ製品は、170カ国10万以上のユーザーに利用されており、昨年から日本進出も本格化。いよいよ主力製品である「Network Performance Monitor(以下、NPM)」の日本語版を提供するに至っている。そこで、今回はこの日本語版を画面とともに紹介していこうと思う。
NPMはSNMPとPingを用いるシンプルなネットワーク管理ツールで、ネットワーク上のデバイスを検知し、障害のアラートを得るだけではなく、可用性やパフォーマンスに関わる数値を監視する。機能面では決して真新しいものではないが、従来型の高価で重厚長大なツールと異なり、低価格で、すぐに利用できるのが特徴となっている。なお、同社のツールは30日間の無償トライアルが可能になっているので、実際にインストールして試すことが可能だ。
最新のNPM10.3では日本語に対応しており、Webブラウザのメニューはすべて日本語で利用することが可能だ。管理用のPCにインストールした後、NPMではウィザードを用いることでネットワーク上のSNMP対応デバイスを自動検出できる。大手ベンダーのハードウェアはほとんどサポートしているため、ネットワーク機器やサーバーは自動的にマップに登録されてしまう。マップはカスタマイズ可能で、画面のようにグローバルの地図のほか、地域やビル、オフィス単位で設定できる。また、デバイスは管理しやすいように、さまざまなカテゴリでグループ化することが可能だ。
マップされたネットワーク機器やサーバーは監視対象となり、CPUやメモリ、ディスクの利用率などをGUIのコンソールからチェックできる。仮想サーバーに関しても、vCenterやVMware ESXサーバーから情報を拾ってくるようになっており、起動時間やCPU負荷などを調べることが可能だ。さらにアラーム作成ツールが用意されているので、複数の条件を組み合わせたアラートをウィザードから構成できる。イベント検出後のアクションも抱負に用意されており、管理者がアラートを漏らさないようになっている。
パフォーマンス測定を手軽に行なえる
さて、NPMの真骨頂は名前の通り、パフォーマンスを測定できるという点だ。死活監視のみのツールと異なり、平均応答時間やパケット損失などを調べることで、障害の予兆を洗い出してくれるわけだ。具体的には対象のノードを選択することで、平均応答時間やパケット損失などをグラフ表示してくれる。また、CPUやメモリの消費量も一目でわかるので、サービスダウンの予兆なども事前に抑えられる。平均応答時間が長かったり、パケット損失の多い、長い時間使われているインターフェイスなどのトップ10リストを表示することも可能なので、どのデバイスに問題があるのかがいち早くチェックできる。
NPMではトラフィック内容までは精査できないが、別途「NetFlow Traffic Analyzer」を導入することで、宛先やプロトコル種別までを精査できる。ほかにもいくつもの管理ツールが用意されているが、1つの画面で統合できるのは大きなメリットといえる。
また、「VoIP & Network Quality Manager(旧IP SLA Manager)」というツールも用意されている。IP SLAは文字通り、接続性や品質をチェックするもので、ジッタや遅延などリアルタイム性を重視するアプリケーションの利用において役に立つ。現状はシスコ製のスイッチやルーター、Cisco Call Managerなどから情報を収集し、IP SLAをGUIで扱える。便利なのは、IP電話の品質にチェックに役立つ「VoIP Summery」で遅延やジッタ、MOS値などVoIPの利用で必要な値を概観できるほか、コールの記録までを検出することが可能だ。
このようにNPMは、ネットワークの状態を「見える化」し、障害や品質低下をわかりやすく提示してくれる便利なツールだ。こうしたツールの有用性は以前から知られていたものの、高価で、導入も大変であったため、中堅中小規模の企業にとっては正直敷居が高かった。その点、NPMは決して真新しい機能はないものの、GUIもわかりやすく、価格面でも導入しやすい。SNMPやNetFlowに対応するスイッチもかなり低価格化しているので、興味がある人は同社サイトから配布されている試用版にチャレンジしてもらいたい。