ゲーム人口拡大のの主役に返り咲けるのか?
これまで任天堂は、「ゲーム人口の拡大」という基本戦略を掲げ、ゲームビジネスを推進してきた。
年齢、性別、ゲーム経験の有無を問わずに受け入れられる製品を投入することで、ゲーム人口を拡大し、それによって事業成長を遂げてきたのは周知の通りだ。
過去のハードウェア、ソフトウェアをみても、まさにその言葉を具現化するような製品が相次いでおり、新たな需要層を開拓してきた。
世界初の3Dゲーム機の登場やWiiによる体感型ゲームの登場などのほか、最近では、「すれちがい通信」や「いつの間に通信」が、これまでのゲーム機にはなかった機能として注目されるものだといえよう。
来年には発売30周年を迎えるファミコンは、当初は子供のためのゲーム機としてスタートしたが、その後、学生やビジネスマン、女性、シニア層へとターゲットを広げてきたことは、同社の歴史が証明している。
しかし、残念ながらこの1、2年は、「ゲーム人口の拡大」という役割を任天堂が果たしてはいないともいえる。
ゲーム人口を拡大する役割を担っていたのは、iPhoneやiPadを発売し、55万種類以上のアプリケーションを提供するAppStoreを通じて数多くのゲームソフトを提供してきたアップルであり、携帯電話やスマートフォンで利用できるカジュアルゲームを提供してきたGREEやDeNAといったソーシャルゲーム陣営である。
任天堂は、改めて「ゲーム人口」を拡大するような企業に成長することができるのか。 任天堂の岩田社長は、「ニンテンドー3DSやWii Uは、単なる改良版をつくったという意識ではなくて、従来は不可能だったことを実現可能にするものだと考えている」と自信をみせ、「将来、ニンテンドー3DSの独自の機能、そしてWii Uの独自の機能を、うまく使ったね、と言っていただけるソフトを提案できるように努力する」と語る。 いずれにしろ、任天堂のこれからの成長は、ニンテンドー3DSと、Wii Uの2つのプラットフォームの成否による。
ソフトウェアの収穫期とされる2年目を迎えたニンテンドー3DSの成長、そして、今年の年末商戦向けに発売することが決定したWii Uが、市場に対してどんな提案をしてくれるのか。対応ソフトウェアの動きや、新たに開始するデジタル配信の動向を含めて注目されるところだ。
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