服の流通をプラットフォームに
―― 第1弾は成功だったと思いますが、第2弾からはどうしていきますか?
鈴木 もっとファッション面を強める感じになります。第1弾はちほPが描いたミクが中心だったんですけど、第2弾はearthの服を着たミクのイラストを描いてもらい、そこで絵師さんに作りたいもの(ファッショングッズ)を描いてもらい、それを本当に作ってしまうという感じに。今は絵師さんから、日傘を作ってみたいと言われていて。
―― 初音ミクがファッションモデルに! 浮世絵の美人画みたいですね。
鈴木 4月1日に告知しまして。エイプリルフールで「ネタ?」とか言われてましたけど。絵師の雨(ame)さんにもpixivのページで告知してもらってます。タグに「こんな服が着たい」「こんなヘッドホンが欲しい」とか書いてあって、最高にうれしかったですね。
秋元 あと、今はタイトルとして分かりやすくするため「日本のカルチャーとコラボしたブランドを」と言ってるんですけど、今後はちょっと方針を変えていこうと思っていて。
―― というと?
秋元 初音ミクのようなコンテンツは一次創作としてあったとしても、それを広げ、世界に発信しているのは作り手さんですよね。そういう人たちをもっと世の中に広めたい。第1弾では(有名な)ちほPだったんですが、これからはそんなに名前が売れていなくても、作り手をこちらからピックアップしていきたいと思ってます。
―― 「もっと評価されるべき」作家を発掘していくと。
秋元 まさにそれです。earthのインフラにのってもらい、作品の価値をどんどん上げていってもらいたいなと。
―― レーベルが発表の場になっていくわけですか。
鈴木 ジャパニメーションとかジャパンカルチャーとか、誇りに思ってはいるんですけど、それを輸出するって結構おこがましいなと思ってるんですよね。向こうからしたら「いやいや侵略しに来るなよ」みたいな話じゃないですか。企業がそういうことをやるとますますそういう色がついてしまう。
―― 押しつけがましく見えがちですよね。
鈴木 なので、あくまで作り手の人たちを支援するためのプラットフォームとしてレーベルがあって、という風にしたくて。売上は最終的にペイすれば何でもよくて、プロセスに関わる人たち全員がハッピーになれるようなものの作り方をしたい。海外のマーケットで売ろうと思ったら、海外で一緒に作ってくれる人たちもハッピーになってもらいたいと。
秋元 たとえばpixivとかだと台湾にも絵師さんがいるので、現地の絵師さんと一緒に現地の商品を作って、それを一緒に流通させる、ということを考えてるんです。
鈴木 それはいわゆる「超有名なヒット作品」じゃできないんですよ。
秋元 課題はいっぱいあるんですけどね、「流通どうするんだオマエ!」とか……。
―― いやらしい言い方ですが、ヘタすると手ばかりかかって儲からないような気もします。もっと簡単にできて儲かる企画を、とは思わないですか?
秋元 それだと続かないんですよ。連続できないんです。
鈴木 新規顧客を入れて終わりではなく、これから一緒に、新しいものを作っていく。Tシャツだけ作って終わりではなく、ファッションとして通年着られるものを作りつづけていくわけです。自分たちだけ儲かって終わりじゃなくて、みんながハッピーになれるものを作る必要がある。それが新しいマーケット、モノを作ることなんだと思うんです。