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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 ― 第88回

日本生まれの初音ミク、アメリカ育ちのヒップホップ【前編】

2012年03月14日 12時00分更新

文● 四本淑三

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 去年の秋、アルテスパブリッシングから出版された「文化系のためのヒップホップ入門」という本がやたらと面白かった。音楽ライターの長谷川町蔵さんと、慶応大准教授の大和田俊之さんによる対談形式の本で、平易な表現で読みやすく、ディスクガイドも充実。当然ながらよく売れていて、評判も高い。

 しかし、入門する気がなくても面白い。というのも結果的にヒップホップの切り口から、それ以前の音楽を批評した内容になっているからだ。長谷川さんが冒頭に宣言するのは次のようなテーゼだ。

 「ヒップホップはロックと同じ音楽だと思うから面白さがわからないのであって、ヒップホップは音楽ではない」「ヒップホップは一定のルールのもとで参加者たちが優劣を競い合うゲームであり、コンペティションです」

Image from Amazon.co.jp
文化系のためのヒップホップ入門 (いりぐちアルテス002)

 あれーっ、そうだったの? という感じだが、この本の企画は音楽史研究者であるにも関わらず「ヒップホップの壁を超えられなかった」大和田さんが、自らの講義に長谷川さんを招いたところからスタートしたらしい。特にヒップホップを理解できないロックの人には、この大和田さんのポジションは共感できるのではないか。少なくとも私はそうだった。

 そして、読み進むにつれ既視感のようなものを覚え始める。「最近似たようなことを体験してなかったっけ?」と。本の終わりに近づくにつれ、それは確信に変わっていき、遂に一番最後のオチのような形で出てくるのだ。「初音ミク」という名前が。

 先のテーゼにあるヒップホップという言葉は「ボカロ」や「CGM」と容易に置き換えられるし、ボーカロイドがなぜ人気なのかもヒップホップの文脈で説明できるのではないか?

 意外や意外、アメリカの不良の音楽と、日本のオタク文化は、全く異質なようでいて、実は表裏一体の関係にあるのかも知れない。この本の本編についてはぜひ買って読んでいただくとして、最後のオチの続きを著者のお二人に伺ってきた。

■話者紹介――

長谷川町蔵 1968年生まれ。音楽や映画に精通したライター/コラムニスト。新刊「聴くシネマ×観るロック」も発売中。

大和田俊之 1970年生まれ。慶応大学法学部准教授。専門はアメリカ文学とポピュラー音楽研究。近著に「アメリカ音楽史 ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで」がある。

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