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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 ― 第71回

週刊アスキー福岡総編集長が語る

初音ミクは日本の伝統芸能だった

2011年09月17日 12時00分更新

文● 四本淑三

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初音ミクは文楽(人形浄瑠璃)だったらしい。写真は『艶容女舞衣』 冨田人形共遊団(滋賀県長浜市) photo: Wikipedia “Osonowiki” CC BY Ellywa

 なんとボカロは日本の芸能の王道だった、というのが今回の話。

 「なんか初音ミクってのが流行ってるんだって。よく分からないけどアニメみたいなキャラクターが歌う、バーチャルアイドルみたいなものらしいぜ」

 というのが世間一般のイメージなのだろう。もちろんイラストとして良くできている、可愛い、といったあたりは見た通りだが、ボーカロイド文化を支える普遍的装置(もう4年も人気が衰えないのだから、そう言って差し支えないだろう)としてこのキャラクターが機能し続けている理由が、正直言って私にも良く分かっていなかった。

 それはアイドルに入れ込んだ経験がないこと、宇宙戦艦ヤマトを経験しているはずのオタク第一世代であるのに、そうしたものを通過してこなかったこと。それが理由ではないかと思い、初音ミク登場以降は、日本のアニメやアイドルをマメにチェックするようになった。が、自分の実感値として何一つとして理解できないことに、大げさに言えばいらだちのようなものすら感じていたのである。

 そこに現れたひとつの回答が「初音ミクは人形浄瑠璃である」という、週刊アスキー総編集長の福岡俊弘さんの説である。

「初音ミク人形浄瑠璃説」としてざっくりまとめられてはいるが全体像がつかめないのである

 現在では文楽とも呼ばれる人形浄瑠璃は、300年も前に誕生した日本の芸能で、人形を操る「人形遣い」、音楽を奏でる「三味線」、物語の語り手「大夫」の3パートで構成される。今でこそ人間国宝もいる大変な伝統芸能だが、当時は完全な大衆文化であった。

 初音ミクは、そうした日本の伝統芸能の要素を持っているのではないか。たまに福岡さんがTwitterで書いているのを見かけるものの、まとまった原稿としては著していないらしい。そこでインタビューへと及んだのである。


ボカロは生きていないものに魂を吹きこむ芸能

―― 今日はTシャツまで合わせていただいてありがとうございます。

福岡 あ、今日は「ミクパ」帰りなんですよ。

週刊アスキー総編集長の福岡俊弘さん。8月16日~17日開催の札幌「初音ミクライブパーティー2011」が終わった翌日に取材させてもらった

―― そんな福岡さんを「ミク厨」とか「ミク廃」と呼びたいのですが、よろしいでしょうか?

福岡 ええ、全然構いません。でも、おっさんがミク厨とか言うとね、聞こえが悪いですよね。若い人に迷惑をかけるから、あんまり言わないようにしているんですけど。

―― なぜミク厨になったんですか?

福岡 4年前に初音ミクが発売された頃は、当然気にはなっていたわけです、パソコンソフトなので。なんとなく盛り上がっているという話は聞いていたんですが、何か立ち入っちゃいけない邪悪な罠みたいな、そういうものに違いないぞ、くらいのイメージでした。

―― あの、なんだか良く分かりませんが。

福岡 よく分からないですけど、なんかそうなんだね、ああ音声合成かな、くらいの感じでいたんです。

―― かな、くらいの感じがどうしてこうなりましたか。

福岡 去年の感謝祭(関連記事をひょっと観に行ったんですよ。発売からたった3年じゃないですか。あれっ、こんなことになってるんだと。衝撃が大きかったですね。生きていないものを生きているように見せたい、ここまで魂を吹き込むことをやるんだと。

※ 2010年3月9日、「ミクの日感謝祭 39's Giving Day」(Zepp Tokyo)。3Dの初音ミクが歌って踊るライブイベントだった

「ミクの日感謝祭 39's Giving Day」

―― それまでニコニコ動画で見たりとかは?

福岡 現象として流行っているのは知っていました。そうやって距離を置いて見るのが自分の立場だと思っていたので。ところが感謝祭を見たときに、ちゃんと物語になっているなあと。楽曲もそうだし。一曲一曲聴くと語りになっている。「悪ノ娘」なんか、正真正銘の物語じゃないですか。後からノベライズされたり。これは面白い芸能だなと思って。



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