Q6:なぜ水で焼けるの? 料理が水でふやけたりしないの?
A6:食品が100℃を超えると過熱水蒸気は水にならないのだ!
ヘルシオについての疑問としてありがちなのが、過熱水蒸気といっても水には違いないのだから、から揚げやパンなどが水でふやけたりしないのかということ。
確かに、過熱水蒸気が冷えて100℃以下になると水になる。そのため、食品の温度が100℃に達していない間は、食品に触れると水に変わるが(前述したように、その水によって食品から余計な塩分が吸い出されるのだ)、過熱水蒸気は非常に高い熱量を持っているので、すぐに食品の温度が上がって100℃を超えてしまう。
食品が100℃を超えると過熱水蒸気は水にならず、オーブンで焼く場合と同じように今度は水分を食品から奪うため、ぱりっと焼ける。そして100℃を大きく超えた過熱水蒸気にさらされるので、表面にも焦げ色がちゃんと付くというわけだ。
Q7:過熱水蒸気のメリットは温めるだけ?
A7:庫内から酸素を追い出し、栄養素を守る役割も!
ヘルシオは、最初から最後までずっと過熱水蒸気だけで調理できる、本当の意味でのウォーターオーブンである。これは、ヒーターによる熱風加熱が中心で、過熱水蒸気は補助的に用いるのみであることも少なくない他社製品とは異なる点だ。これこそが美味しさの秘密といってよいだろう。
さらに、庫内の密閉度が高いため、調理中は庫内が過熱水蒸気で充満することによって空気中の酸素が追い出され、酸化に弱いビタミンCなどの栄養素が壊れることを防ぐというメリットもある。
過熱水蒸気で庫内を満たすために、噴射口の配置や庫内に過熱水蒸気を送り込むためのファンの形状や回転数についても試行錯誤を繰り返したという。普通のモーターでは、過熱水蒸気を循環させるスピードが足りないため、特殊なモーターを使うことで循環サイクルを早めて、食品に絶え間なく熱量を与えていく設計になっているのだ。
Q8:過熱水蒸気を使う調理レシピってどうやって作ったの?
A8:誰も試したことがない調理法なので、ゼロからの試行錯誤だった!
ヘルシオ開発にあたっての困難は、過熱水蒸気を発生させるエンジンや、庫内に効率良く送り込むファンといった、ハードウェア面だけではない。
ハードウェアの開発と同じくらい大変だったのが、過熱水蒸気を使って調理をするためのレシピ作成であったという。いわば、ソフトウェア面の開発といえる。いくら高性能なパソコンも、ソフトウェアがなければ役に立たないように、ヘルシオにとってのソフトウェアともいうべき調理レシピは非常に重要だ。
レシピ作成の担当者によれば、過熱水蒸気を利用する家庭用調理器は前例がないため、過熱水蒸気の意味を知るところからのスタートだったそう。
調理に水を使うと言っても、いったいどれほどの水をタンクに入れるべきかも分からない状態で、過熱水蒸気で初めてハンバーグを焼いたときは、定石通りハンバーグの中央に凹みを付けたのだが、調理が終わって庫内から出したところ、その凹みに水が溜まっていたと笑いながら話してくれた。
そんな試行錯誤の結果が付属のクックブックと自動調理メニューなのだ。
また、全国発売の製品であるため、味付けにも苦労したという。というのも、ヘルシオは関西で開発されたこともあり、どうしても味付けが関西風の薄味になりがちだったため、料理研究家の手で標準的な味に調整し直されているとか。
そうした苦労の甲斐があり、ヘルシオに付属するクックブックのメニュー数は年々増加し、最新のAX-PX2に付属するクックブックには、計351種類ものメニューが掲載されている。