所有ベースと共有ベースでは音楽の形も違う
―― ネットには著作権マニアみたいな人がたくさんいるので、ああいう言い方をすると「人格権は放棄できない」とか、色んなツッコミが来て大変だったと思うんですけど。
小泉 いや、そうみたいですね。ああ、こんなに騒がれるんだって。弁護士さんの方からも連絡をいただいて、それは優しく教えていただいて、すごく勉強になりましたけど、あまりに無防備過ぎました。(レーベルオーナーの)佐々木さんからは「誤解を生みすぎる書き方だから、もうちょっとちゃんとしないと」って。確かにおっしゃる通りです。
―― もちろんレーベルとの関係が悪化したわけじゃないんですよね?
小泉 そうなんです。関係が悪くないから僕らは説明しないんですけど、逆に勘ぐられたりするんで、ここははっきり言っておいたほうがいいですね。レーベルとの関係は良好です。レーベルからライブがあるから出てくれって言われたら出ると思いますし、それくらいの変わらない関係です。
―― あの宣言は、サンガツの作品を音源としてリリースすることに興味がなくなったということですか?
小泉 興味がないまでは行かないんですけど、優先順位が下がったんです。著作権についても、皆が放棄してフリーになればいいなんて全然思っていない。著作権の話もマネタイズの話も、立場が違うのに一律に話しても意味はないと思っていて。バンドのサイズによって意味が全然違いますよね? 5万枚売る人と、手売りで500枚くらい売りたい人では。それ(著作権放棄をするかどうか)を選べるようになればいいと思うんですよね。
―― でもサンガツの場合は、レーベルで音楽を出すという選べる状態があったわけですけど。
小島 そうなんですよね。でも、一度きれいサッパリ、分かりやすくしたほうがいいかなと思って。
小泉 著作権が機能不全を起こしているという話もありますけど、音源も機能不全を起こしているんじゃないかと思うんです。ネットが音楽を共有するメディアになると考えたとき、所有ベースで話を進めてしまってるんじゃないかと。具体的には音源を短いサイズにまとめることです。たとえばバリ島の音楽とか、みんなが演奏に参加してずっと演ってることはありますよね?
―― 作品として完成させなくてもいい音楽もある、ということですよね?
小泉 ええ、そうです。だから所有ベースと共有ベースでは音楽の形も違うと思うんです。
―― それが今日の話のテーマでしょうね。メディアが更新するたびに音楽はスタイルを変えてきたのに、ネットではまだそれがない。権利の壁もあるでしょうが、メディアとして意識したアプローチがされていないからだと思うんです。でも、どうやらそれをサンガツがやろうとしている。話じゃないかと思って今日は来ました。
小島 そうなんです。頑張らないといけないなっていう。
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