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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 ― 第97回

神戸在住のトラックメーカー・tofubeatsに聞いた

関西は「もうなくなりそう」、風営法で危機に瀕するクラブシーン

2012年06月16日 12時00分更新

文● 四本淑三

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 tofubeatsは神戸在住のトラックメーカーで、現在21歳の大学生。 高校3年生にして国内最大のレイヴイベントWIRE'08に出演し、その後、iTunesのダンスチャートで1位となるEP「BIG SHOUT IT OUT」をリリース。アイドル曲のリミックスなども数多く手がける、平成世代を代表するネット発アーティストの一人である。

 この取材も、若いのにすごい、ネットと音楽って面白い、普通ならそういう平和な話で終わるはずだったのだが、時節柄、この話は避けて通れなかった。マルチネレコーズのオールナイトイベント『歌舞伎町マルチネフューチャーパーク』(カブチネ)出演のため、トーフくんが上京中というので、新宿東口で待ち合わせ。そして初対面のトーフくんに「いま関西どう?」と、挨拶のつもりで投げた言葉への答えはこうだった。

 「もうなくなりそうです」

※ tofubeats : 現在、公式サイトtofubeats.comに「朝が来るまで終わる事の無いダンスを(2012mix)」が、フリーダウンロード曲として貼られているので、この記事に目を通す前に一聴一読をお勧めする。

※ マルチネレコーズ : 設立は2005年、いまや老舗のネットレーベル。

風営法とクラブ

 「もうなくなりそう」というのは、クラブの話だ。

 最近、警察によるクラブの摘発が続いているのはご存知の通り。その根拠となるのは風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)という戦後からある古い法律だ。

 この風営法が1984年に改正された際に、ディスコの終夜営業禁止が盛り込まれた。

 私の記憶が正しければ、それは1982年に起きた「新宿ディスコ殺人事件」に端を発するもので、客を踊らせる店は風俗営業として公安の許可が必要、かつ原則として午前0時に営業を終えなければならないことになった。

 が、飲食店登録なら終夜営業も可能。そこで風俗営業許可を取らずにDJイベントを行なってきたのが、日本で「クラブ」と呼ばれているものの始まりだった。そもそも無許可で客を踊らせるのは違法であるため、その取り締まりが厳しくなってきたのが昨今の状況ということになる。

 ならば終夜営業を諦め、風俗営業許可を取って客を踊らせればいい。しかしその許可を取るには、客室床面積は1室66平方メートル(20坪)以上、客室内の見通しを妨げるモノを置かないなど、店舗の規模や設備に細かい規定がある。飲食店登録で始めたマンションの一室にあるような小さな店舗で、この条件をクリアできるところは多くない。

 そこで風営法から「ダンス」の規制項目削除を求める署名運動が始まった。Twitterで盛んにリツイートされているので、目にした人もいるだろうし、すでに実際に署名した人もいるだろう(Let's DANCE)。

「Let's DANCE ダンスカルチャーを守るために、風営法の改正を求めます」

 クラブと一言で言っても様々で、何百人、何千人と入る絶滅前のディスコさながらの巨大なものから、音楽好きが集まって朝までダラダラしている小規模なものまで様々だ。だから、この問題についても、人によって思うところは違うはず。

 私の場合は、たまに知り合いのイベントがあると、世間話のついでに出かける程度。たいてい小箱だ。すでにトシなのでオールのイベントは大変だから電車がある時間に帰る。それでも似たような音に関心のある、職種の違う人が集まれる場は貴重だ。

 そんな感じで毎晩のようにイベントが催されている東京にいると、トーフくんが大阪で感じているような「もうなくなりそう」というほどの危機感はなかった。少なくとも2012年の6月初旬の時点においては。

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