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大河原克行が斬る「日本のIT業界」 ― 第19回

1+1=2にならない事業統合

NECはPC事業を存続できるのか?

2011年03月01日 09時00分更新

文● 大河原克行

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 NECとレノボの提携が発表されてから約1ヵ月が経過した(関連記事)。

合弁会社の資本構造

 両社が発表した提携スキームは、2011年6月を目標に、NEC・レノボ・ジャパングループを発足し、レノボが51%、NECが49%を出資する合弁会社Lenovo NEC Holdings B.V.を設立。この合弁会社の傘下には、NECの100%子会社であるNECパーソナルプロダクツからパソコン事業を分離して新たに設立するNECパーソナルコンピュータ株式会社と、日本国内でレノボのPC事業を行うレノボ・ジャパン株式会社が収められる。

 それぞれの会社は独立した形で、国内PC事業を推進することになるのが基本姿勢だ。

 この1ヵ月の間、業界関係者を取材すると、決まってこの話題が出てくる。

 そして、その話題の終着点は、果たして、NECは国内でPC事業を独立した形で続けることができるのか、という点である。


NECのPC事業をレノボに100%譲渡することはない?

 合弁の記者会見でNECの遠藤信博社長は、「今回の提携は、PC事業を譲渡するものではなく、イコールパートナーとして展開する形になっている。将来、NECのPC事業を、レノボに100%譲渡するといった話は一切ない」と断言したが、レノボには、5年後に合弁会社の出資比率を引き上げられる条件がついており、これを巡って、様々な憶測が飛び交っている。

NECの遠藤信博社長

 合弁会社の社長を務めるNECパーソナルプロダクツの高須英世社長は、「この条項は、両社の提携が終了する際の措置として盛り込まれたものであり、提携が続けば、この措置は実行されることはないだろうと考えている」と話す。

 こう前置きしながら、「もし100%レノボに事業が譲渡された場合には、レノボはNECのロゴを使ったPC事業が継続できない。今後、NECブランドのPCは、レノボのバイイングパワーを生かした調達が可能になり、これを生かすことで、これまで以上に競争力を持った事業展開が可能になる。そうすれば、NECのシェアはますます高まるだろう。もし仮にNECの存在感がさらに高まり、30%近い国内シェアを持った場合、その事業を完全買収して、NECのブランドを消滅させることは、レノボにとって魅力的な選択肢ではないはずだ」と語る。

NECパーソナルプロダクツの高須英世社長。合弁会社の社長を務める

 言い方を変えれば、NECパーソナルコンピュータが、NECブランドのPC事業を存続させるためには、NEC自らがこれまで以上にシェアを引き上げる必要があるというわけだ。


IBMのときとは異なる

 レノボが、今回の提携で、NECのPC事業を完全子会社化せずに、51%対49%という出資比率を維持したのには理由がある。

 レノボは、2005年に米IBMからPC事業を買収しているが、その際、事業のすべてをレノボに取り込むという選択肢を選んだ。

 だが、その選択は、結果的にシナジー効果が限定的だったといわざるを得ない。

 日本IBMの例をみても、研究開発拠点である大和研究所から多くの社員が退社したという事実があり、また、レノボの品質仕様を前提とした開発が進められたことで、日本で高い人気を誇っていたThinkPadでは、ユーザー離れを引き起こすことになったのは記憶に新しい。結果として、日本国内におけるThinkpadのシェアが減少。国内でのレノボのシェア引き上げに時間を要することになってしまった。

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