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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第41回

1万人が見た、CD全曲録音――USTレコーディングの挑戦

2010年12月11日 12時00分更新

文● 四本淑三

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自分の息子に「バンドやらない?」

―― ところでunsuspected monogramを始めた理由を教えてください。世間的には無名に近いバンドなわけですが。

佐久間 そうだね、まったく無名だね。そもそも僕はバンドをやろうとは思っていなかったんだけど、たまたま3年前に、さいたまスーパーアリーナにレディオ・ヘッドを観に行ってね。その時に、ああいう音楽が、これだけ多くの人を熱狂させる状況が、まだ日本にも残っていたんだと。そんな音楽を求めている人はいないと思っていたから。

―― レディオ・ヘッドはポップでもキャッチーでもないですからね。

佐久間 でも、あんな風に音楽を求めてくれる人たちがいるなら、バンドをやってみるのもいいかなって。じゃあ、四人囃子でもプラスチックスでもできなかったバンドをやろうと。

unsuspected monogramは、レディオ・ヘッドのライブを見たときに結成を思いついたという

―― メンバーは佐久間さんが集めたんですか?

佐久間 そう思い立ったときに、ボーカルの若菜拓馬に声をかけた。彼はもともとギター弾きでボーカリストじゃないんだけど、趣味でやってるバンドでは歌ってる。そのタイミングで彼の歌を聴いて、あ、コイツがいたと。その時にフジファブリックの山内総一郎くんもいて、三人で話をしたのが始まり。

―― それはいつ頃の話ですか?

佐久間 2008年の10月。それでベースは僕より上手いヤツという条件を付けて探したんだんだけど。

―― それは厳しい条件だなぁ。

佐久間 そうしたらフジファブリックの山内くんが、砂山淳一くんを紹介してくれて。ドラムはボーカルの若菜拓馬が、師匠筋に当たる星山哲也を連れてきて。で、キーボードについてはどうしようかなと思っていて。

―― キーボードの佐久間音哉さんて、佐久間さんの息子さんですよね?

佐久間 そう。たまたまMySpaceにページ持っているのに気付いて(佐久間音哉さんのMySpace)。で、聴いてみたの。あ、こいつセンスはいいわあ、と。しかもWebデザインとかやっているから、こいつは便利だぞと。

佐久間音哉さん(otto)のMySpace

―― わははははは。

佐久間 それで「バンドやらない?」ってメールして。

―― お父さんにバンドやろうって言われる息子の心境ってどんなもんでしょうね?

佐久間 僕もまさか自分の息子に「バンドやらない?」ってメールする日が来るとは思いもしなかったけど。

―― 音哉さんが音楽をやっていたことはご存じだったんですか?

佐久間 ずっと変なテクノバンド(フォーチュンめがね)をやってたから。そっちは聴いたことがあったけど、彼がソロでやってるのはMySpaceで初めて聴いたんだ。

―― ところでunsuspected monogramの音楽を、分かりやすく表現するとどんなバンドですか?

佐久間 いわゆるオルタナティブというやつだと思いますよ。様式美ではない、正しい意味でのプログレッシブだと思いますよ。

―― プロデューサー的な狙いは?

佐久間 世界に通用するバンドですよ、もちろん。

―― おお!

佐久間 圧倒的な演奏力が、世界レベルでやるには当然のことだから。日本の普通のバンドのレベルでやってもしょうがないなと。

(次のページに続く)

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