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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第40回

初音ミクでハルメンズ! サエキけんぞうと7人のボカロP【後編】

2010年11月13日 12時00分更新

文● 四本淑三

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初音ミクの「ハルメンズ的な発想」

―― 失礼な話ですが、ハルメンズの1st、2ndってどれくらい出ているんですか?

Image from Amazon.co.jp
ハルメンズの近代体操(1980)

サエキ 3000枚ずつですね。

―― じゃあイニシャルで終わっているわけですよね?

サエキ そうなんですよ。でも、あの時代って、大体何でも3000枚なんですよ。

―― 後に名盤と呼ばれるものも含めてそうですよね。

サエキ その後「ハルメンズ・デラックス」が2万枚くらい。89年、96年くらいに(オリジナルの2枚が)再発されて、それぞれ5000枚ぐらい出ています。

―― そんなにハルメンズが長く聴かれている理由は何だと思いますか?

サエキ 「昆虫軍」「隣の印度人」「電車でGO」の三曲は、カラオケに入っていたりもしますからね、戸川純としてもハルメンズとしても。まあ、みんなで飲みに行くと、中に一人くらいは電波系の人がいて、その三曲を狂ったように歌って、それを皆が聴かされているという状況もあるわけですよ。

kihirohito わははははは。

―― それが今度はボーカロイドで歌われるわけですが、ゲルゲさんの担当曲「アンドロイドな女」は、ボーカロイドを意識した選曲だったりしませんか?

うどんゲルゲ ロボットネタは避けて通れないんですよね、ハルメンズの場合。

キャプミラ 素でカバーするだけで、ボーカロイドの世界観にマッチする曲が多いんですよ。

―― そういえばハルメンズはこの年代の割に、未来っぽいテクノロジーがらみのネタが多いですね。

サエキ 他に初音さんの歌う曲で「自分はサイボーグ」とカムアウトしている曲はあるかも知れないけど、昔からある曲で同じことを歌うというのが面白いと思うんですよ。

―― 「ふにゃふにゃサイボーグ」もそうですが、70年代末の曲ですよね? それが今の雰囲気と当たり前に合ってるのが面白いですよね。

サエキ 未来が隣にいる感じですよね。ハルメンズの世界には、サイボーグやアンドロイドと同列に、ファクシミリのようなものが未来のものとして語られていて、違和感なく同居している。それが、不滅の未来感のようなものの正体というか。30年後になって実現しているテクノロジー、していないテクノロジーもある中で、遠く未来の存在だったはずの初音ミクも、隣にいるという不思議さですね。奇跡のようなことで、ありがたいんですけど、そこがハルメンズ的な発想なんですよ。

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