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池田信夫の「サイバーリバタリアン」 ― 第128回

宇多田ヒカル事件の示すクリエイターと企業の「契約」の恐さ

2010年10月27日 12時00分更新

文● 池田信夫/経済学者

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ミュージシャンの意に反して出されるアルバム

 歌手の宇多田ヒカルさんが24日につぶいやいた次のようなツイートは、約9000回もリツイート(再送)された。

Universal Japanから発売が発表された「Utada the best」ですが、私の意志とは全く無関係であり、EMIの宇多田ヒカルのベストと同日に発売をぶつけてきた彼らのやり方にもあまりいい印象を持てません。予約を考えている人は、少し待ってください。

 ミュージシャンが、自分のアルバムを「買わないで」と呼びかけるのは異例だが、これには複雑な事情がある。EMIから出すアルバムは、彼女が選曲に加わって新曲も入っているが、ユニバーサルの原盤はアメリカのレーベルが出すもので、彼女がアメリカで出したアルバムから選曲している。洋盤の契約がどうなっているかは不明だが、ユニバーサルは「契約上は問題ない」としている。

アーティストの意向に反して、ベスト盤がリリースされるケースは、表立って話題になったものだけでも、ドリカム、スピッツ、YMOなどの例がある

 音楽業界では、オリジナル盤はミュージシャンに無断で出せないが、ベスト盤はレコード会社が自由に出せるという契約になっていることが多いという。洋盤のアメリカでの売れ行きは悪かったので、国内盤を出して元をとろうというレコード会社の気持ちはわかるが、国内のベスト盤の発売日とぶつけるのは、消費者が混同することをねらっているとも受け取れる。

 宇多田さんがユニバーサルの「便乗商法」に怒るのは当然だが、残念ながら法的には、阻止することはできない。ミュージシャンの意に反してベスト盤が出されることは珍しくなく、特に最近ではCDの売り上げが低迷しているため、ベスト盤が乱発される傾向が強い。ミュージシャンにとってCDは「作品」だが、レコード会社にとっては「商品」にすぎないのだ。

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