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痛車でラリー! メロンブックスインテ奮闘記 第5回

大自然の驚異の前に、メロン号は無念のリタイヤ

2010年06月04日 22時36分更新

文● 中村信博 ●写真/中島正義、中村信博

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絶対完走を目標に出発したメロン号だったが……

 いよいよ十勝平野をめぐる長い旅路に発ったメロンブックス・インテグラ。大歓声のセレモニアルスタート&SS1を終えたあと、翌22日からいよいよ本格的な競技がスタートする。デイ1の舞台は、帯広市から北東に約80kmにある陸別町を基点に、周辺の3つのステージを3周する設定。そのうち、ギャラリーステージが置かれた陸別サーキットを除く2本は、いずれも約25kmの行程をもつロングステージだ。

 今戦の全日本ラリー選手権JN-3クラスにも、強力なライバル達が顔を並べている。昨年度JN-2クラスチャンピオン田中伸幸選手(三菱ミラージュ)を筆頭に、第2戦宮崎で優勝した香川秀樹選手(ホンダインテグラ)、グラベル巧者として知られる若槻幸治郎選手(日産パルサー)、地元・北海道では絶大な人気を誇る鎌田恭輔選手(三菱ミラージュ)、表彰台常連ドライバー曽根崇仁選手(トヨタセリカ)など、いずれもその名を知られたスプリンターばかりだ。

 一方、メロンブックス・インテグラのドライバー眞貝知志選手は、実はこれまでグラベルラリーの経験がほとんど無い。眞貝選手がドラテクを磨いた南関東、それに中部地方には良好なグラベルコースが無く、開催されるイベントもほとんどが舗装路を舞台とするターマックラリーだったのだ。経験豊富なライバル達とまともにぶつかれば、もはや勝負にすらならないだろう。さらに、次に参戦を予定しているJRC第4戦「久万高原ラリー」までの日程もあまり余裕は無く、ここでマシンを大破してしまっては修復の時間も取れないに違いない。

 今戦「ラリー北海道」でのチームオーダーは、「順位をいっさい気にせず、とにかく確実にフィニッシュを踏む」。消極的なオーダーのようだが、それなりに成算があってのこと。総走行距離が1000km近いグラベルイベントである「ラリー北海道」は、クラッシュよりもマシントラブルで戦線離脱するマシンがきわめて多い耐久イベントだ。全力で鍔迫り合いを演じるトップ勢は、それだけマシンにかかる負担も大きくなるし、時間がたつごとに彼らの中からもリタイヤが出てくるだろう。我々は彼らのリタイヤに助けられる形で順位を上げることができるはずだし、しかも今年のポイント係数ルールの関係で、たとえ最下位完走でも大きなポイントを得ることができる。「順位無視、完走至上」のチームオーダーは、シリーズ入賞を狙う我々がとれる唯一の選択だったのだ。

 デイ1最初の10分サービスをメカニック隊にまかせ、筆者は一足お先に陸別へと移動。舞台が広範囲にわたる「ラリー北海道」では、北愛国のメインサービスのほかに、陸別サーキットの一角に小規模なサービス(陸別リモートサービス)がおかれる。各チームは北愛国での最初のサービスを終えたあと、競技車の後を追うように陸別に移動してくるが、筆者は先発隊として陸別に入り状況を見極めることになったのだ。陸別に入ったのは8時過ぎで、まだ会場の中はテントがちらほらと立っているだけだった。

早めに陸別サーキットに入ったので、会場はまだテントもまばら。あとしばらくすれば、ここも色とりどりのテントで埋まることだろう

(次ページへ続く)

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