センサーを活用する機能が充実
それゆえの「モバイルグリップ」か
立って使う「モバイルグリップスタイル」が復活したのは、なにもライバル対策だけではないようだ。新VAIO Pの改良ポイントが「センサーの内蔵」にあるから、という点が大きいようである。
新VAIO Pには、地磁気・加速度・照度のセンサーが内蔵された。3G通信内蔵モデルならば、これに加えGPSも内蔵されるし、そもそも無線LANも位置測位に使える。
照度センサーはバックライトの照度調整に内蔵される例が増えているが、VAIO Pが比較的低価格な製品であることを考えると、異例といえるかも知れない。地磁気・加速度センサーの搭載は、明らかにiPhoneやXperiaのような携帯電話からの影響だろう。
Windows 7には、新たにこれらのセンサーを活用するためのAPIが搭載されている。VAIO PでもこのAPIを活用し、各種ソフトで生かしている。例えば地磁気とGPSは、もちろん地図機能などで利用する。VAIO Pを持って位置を変えると、その場で「どちらを向いているか」が分かる。そのため標準で、「いまどの方角を向いているか」が分かるデスクトップガジェットがインストールされているくらいだ。
GPSや無線LANをつかうと、地図ソフトの上で自分の場所を示し、ナビや周辺情報を取得できる。ポータブルナビや携帯電話でできることを同レベルの精度で、さらにリッチな画面で見せよう、という考え方だ。ノートはサイズが大きいため、「別に方向まではいらない」という判断もありえるだろうが、VAIO Pクラスなら、地磁気センサーはあってしかるべきだった。
加速度センサーも、やはり使い方は「iPhone」的。本体を縦に持つと画面が90度回転して「縦持ち」できるほか、本体を傾けてウェブブラウザーの「進む」「戻る」操作ができるようになっている。実のところ、ウェブブラウザー操作はボタンの方が素早く、あまり実用的ではないが、「縦持ち」はかなりうれしい。ウェブを「超縦長」で見たり、電子書籍を読んだりする時には向くと感じた。
ここで特筆すべきなのは、持つ方向を変えた時に、ポインターやカーソルキーの「操作方向」も変わる、ということだ。例えばパソコンを傾けて縦に持つと、カーソルの「上下」キーは「左右」に変わる。当たり前のようだが、こうしないときちんと操作ができない。
モバイルグリップスタイルが復活したのは、こうした機能を生かすためだろう。キーに向き合う「パソコン的」な操作以外を楽しむならば、やはりああいった機能が必要だ。
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