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西田 宗千佳のBeyond the Mobile ― 第15回

ソニーが送るNetbookキラー? VAIO type P解体天国(前編)

2009年01月08日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳

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 2008年、PC市場を席巻したNetbookの波は、2009年にも収まりそうにない。完全にジャンルとして定着し、今年も我々をわくわくさせてくれることだろう。

 だが他方で、日本メーカーの存在感が薄れたのが2008年の特徴でもあった。高価な製品ではいくつか光るものもあったが、市場全体が「低価格製品」で盛り上がっている中では、いまひとつ目立てなかった……というのが実情だ。かといって、大手日本メーカー系のNetbookは、価格やスペックの点で「周回遅れ」の感が否めず、メジャーになりきれていない。製造により近い海外メーカーと、小回りの利く小規模な日本メーカーの強さを感じたのが2008年だった。

VAIO type P
VAIO type P

 日本メーカーはこのまま、「低価格」「小型」の市場で存在感を示せないのだろうか? そこにまず、年初からソニーがひとつの回答を提示した。それが「VAIO type P」(関連記事)だ。

 type PはNetbookではない。だがあきらかに「Netbookに求められるもの」を持った製品である。type Pはどのような経緯で生まれたものなのだろうか? 製品のファーストインプレッションと、開発チームへの取材、そして「分解」を通して探っていこう。

 インタビューがあまりに盛りだくさんであったため、今回は上下2回に分けての掲載となる。まず前半では、主に「デザイン」および「コンセプト」と、それを実現するための「技術」について語っていきたい。

伊藤好文氏 鈴木一也氏 東ヶ崎 優氏
伊藤好文:type P 製品企画鈴木一也:type P プロジェクトマネージャー東ヶ崎 優(とがさき ゆう):type P 機構設計担当

Netbookではないが
「Netbookから大きな影響」

type Pの特徴は、安さよりも「デザイン」と「サイズ」 type Pの特徴は、安さよりも「デザイン」と「サイズ」。第一印象で「いい」と思わせる、コンパクトで美しいデザイン。マウスは別売りのBluetoothマウスだが、本体色に合わせて4色を用意

 type Pの特徴は、なんといっても「デザイン」と「サイズ」だ。サイズは一見すると、往年の名機「VAIO C1」を思わせるが、実際に触れてみるとはるかに小さく軽い。なにしろ重量は、たったの588g(CTOモデルの最軽量構成時)しかないのだ。16.5mmキーピッチのキーボードに、そのまま高精細ディスプレーと本体が内蔵されているようである。

VAIO C1最後のデザインモデルとtype Pを並べて VAIO C1最後のデザインモデル(PCG-C1MSX)とtype Pを並べて。横長モバイルで似た印象を持つ両機だが、サイズはtype Pの方が一回り小さい

 商品企画を担当した伊藤好文氏は、まず、このデザインに至るまでのモックアップを並べながら、次のように説明した。

type Pのデザインモックアップ type Pのデザインモックアップ。一見どれも似たように見えるが、モバイルPCとしてのこだわりを追求して、試行錯誤が繰り返された

伊藤「この機種は通常の製品よりも長い時間をかけて検討しました。テーマの元になったのは『今、この時代に求められているモバイルってなんだろう?』です。当時はまだNetbookはなかったので、『対Netbook』という話から始まったものではないんです」

「検討の課程で、『スマートフォンがある時代に、PCに求められているのはなにか?』と言う問いが出てきました。『ケータイやスマートフォンで十分』という人もいるでしょうが、すべての人がそうではない。だからtype Pでは、『携帯電話とともに持ち出してもらうPC』を考えました」

「そして、PCの良さと言えばやっぱりキーボードと画面の表示領域(の広さ)。ですから、そのサイズにこだわりました」

PC向けサイトを快適に扱える広い画面と快適なキーボード PC向けサイトを快適に扱える広い画面と快適なキーボード。携帯電話やPDAでは実現できないこれらの要素こそ、モバイルPCの強みと考えてtype Pはデザインされた

 サイズへのこだわりの中でも、特にこだわったのが「120mm」という奥行きだ。

伊藤「120mmは、持ってみるとぴったりくる。例えば、ほんの3mm大きいだけでも、全然違うんです」

 そういって伊藤氏は、奥行き123mmのモックアップを筆者に手渡した。たかが3mm……、そう思って持ってみたが、確かに伊藤氏の言うとおりである。片手でガシッとつかめるのは120mmまでで、123mmになると、はっきりとつらく感じる。開発を統括した鈴木一也氏も苦笑する。

鈴木「3mmや5mm違うだけでも、開発はずっと楽になるんですけどね。それにtype Pは、周囲がアール(角丸)になっていますよね? ということは、内部の使えるスペースはもっと小さい。しかしデザイナーは『120mmじゃなきゃいけない』『角はアールじゃなきゃいけない』と言うので、とにかく苦労しました。

「我々も正直、持ってみるまで差がわからなかった。123mmと120mmがあんなに違うとは思いませんでした。また角が四角くても、やっぱりダメなんですよ」

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