今回は4月末に情報が公開された、マイクロソフトのコンシューマー向けウェブサービス、次期「Windows Live」に関して解説しよう。
Windows Live Wave4とは?
次期Windows Liveの「Windows Live Wave4」(以下Wave4)は、メールサービスの「Hotmail」、ファイル保存サービス「SkyDrive」、インスタントメッセンジャー「Windows Live Messenger」などのウェブサービスと、「Windows Live Essentials」(日本では「Windows Liveおすすめパック」)というクライアントソフト群で構成されている。いわば、マイクロソフトが推進しているクラウド戦略の「Software+Service」(S+S)を具体的に実現したものだ。
現在のWindows Live(Wave3)は、ウェブサービスとクライアントソフトを融合して利用するS+Sのコンセプトからすれば、あまりできのいいものではなかった。Wave3は以前のブラウザーベースウェブサービスを中心としたコンセプトでサーバーシステムが開発されていた。一方、本格的にS+Sというコンセプトを取り込んでシステムの開発を始めたのが、新しいWave4になる。
Wave4ではサービスとして、HotmailとSkyDrive、Messengerなどが用意されている。クライアント側のソフトウェアWindows Live Essentialsは、MessengerやMailのほか、Photo Gallery、Movie Maker、Writer(ブログ編集ソフト)、Sync(P2Pファイル同期サービス)、Family Safety(セキュリティー)などが用意されている。Wave3から新しく追加されたサービスやソフトウェアはないが、機能は大幅に変わっている。
Wave4のコンセプトは、「使いやすさと融合」だろう。例えば、ウェブベースのメールクライアントであるHotmailだが、大量のメールを扱うには機能不足だった。一括して削除したり、フォルダーに移動することができないのだ。Wave4の新しいHotmailでは、必要な情報に素早くアクセスできるようなインタフェースになる。
SkyDriveは単なるファイル保存サービスから、Windows Liveで提供されているサービスの共通のデータ保存領域に変わっている。これにより、例えばMessengerから簡単に、SkyDriveにアップされている写真を表示できる。また、「Office 2010」で追加されたブラウザーベースのOfficeアプリケーションの保存エリアとしても利用される。
最も大きく変わるのがMessengerだ。Messengerは単なるチャットのためのツールから、広範なコミュニケーションツールへと進化している。
現在ではインターネットユーザーの多くが、FaceBookやTwitter、YouTubeにFlickrなど、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を利用している。しかし、多くのSNSは互いに連携していないため、友人の情報などがアップデートされたら、電子メールやRSSなどで通知を受けるのが常態だ。
新しいMessengerでは、Messengerがインタフェースとなって各SNSの情報を受け取る。つまり、各SNSの更新情報などが、ずっと起動しているMessengerに表示されるわけだ。
そのほかにも、Syncは単なるP2Pファイル共有システムから、クライアント間のデータ同期サービス「Live Mesh」の機能を取り入れて、リモートデスクトップ接続の機能が入る。Movie MakerやPhoto Galleryなども、SkyDriveに簡単にファイルをアップしたり、SNSに通知したりする機能が追加されている。
Windows Live Messenger
それではMessengerの新機能を見てみよう。Messengerでは新しく「Social View」という画面が用意されている。このSocial Viewに、さまざまなSNSからの情報を一括して表示する。単なるメッセージだけではなく、写真共有SNSなどにアップされている写真や、興味のあるウェブのリンクなども表示される。
Messengerはプラグインにより、さまざまなSNSに対応できるようになっている。米国ではFaceBook、YouTube、Myspace、WordPressなどのプラグインが提供される予定になっている。日本向けにどういったプラグインが提供されるかはわかっていないが、ユーザー数の多いMixiやニコニコ動画などのプラグインは必須だろう。
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