今回は、新しいWindows Live Essentialsで大幅に機能が改良されたファイル共有サービス「Windows Live Sync」(以下Sync)について解説しよう。
Syncのクライアントソフトは、今までのWindows Live Essentials(日本では「Windows Liveおすすめパック」)でも、Windows Live Photo Galleryをインストールすると、同時にインストールされていた。機能としては、パソコン同士でフォルダーを同期する「ファイル共有」や、外部からパソコンにリモートアクセスする機能などが提供されていた。
旧バージョンのWindows Live(Wave3)がリリースされた時点では、マイクロソフトのオンラインストレージサービスにはSync以外にも、「SkyDrive」と「Mesh」があった。例えばSkyDriveでは、25GBもの大容量のストレージをオンライン上に用意しており、オンラインストレージサービスとして多くのユーザーに利用されている。
一方のSyncは元々、マイクロソフトが買収したオンラインストレージサービス「FolderShare」をベースとしていた。新しいSyncではFolderShareだけでなく、SkyDriveやMeshといった、マイクロソフトが提供しているオンラインストレージ関連のサービスを融合させて使いやすくしている。
Meshとは、マイクロソフトのクラウドサービス「Azure」を推進しているCSA(Chief Software Architect)のレイ・オジー氏が手がけていたプロジェクトだった。MeshはSkyDriveと連携して、クラウド上でもパソコンとフォルダーを同期させるシステムである。ちなみに、オジー氏は元CEOのビル・ゲイツ氏の後を継いで、マイクロソフトがリリースするすべての製品開発を監督している。
今回リリースされたSyncは、以前のFolderShareベースのサービスよりも、SkyDriveとMeshをベースにしたオンラインストレージサービスに方向性を変えている。
フォルダーを同期させるP2P機能 Sync
Syncの主な機能は、複数のパソコン間で、指定したフォルダーを同期させる機能だ。ある意味「P2P」機能と呼んでもいい。
またP2Pを利用して複数のパソコンのフォルダーを同期するので、オンラインストレージのようなファイルやフォルダーの容量制限はない。つまり、ネットワークのスピードが許す限り、フォルダーを同期できる。
便利な点は、3台以上のパソコンでひとつのフォルダーを同期させられる点だ。これをうまく使うと、自宅のパソコンと会社のデスクトップ、さらにモバイルノートなど、複数台のパソコンでドキュメントフォルダーを同期設定しておくことで、いつでもどこにいても、パソコンをネットに接続するだけで最新のフォルダー内容に同期できる。これなら外出先や出張先で、すぐに必要な文書を使用できる。
Syncで同期できるファイルは、パソコン内に入っているどんなファイルでもいい。例えば数GBもあるビデオファイルでも、プログラムファイルでも同期可能だ。ただし、パソコン同士でフォルダーを同期するためには、同期するパソコン同士が必ず起動している必要がある。そうでないと、Syncによるフォルダー同期は行なわれない。
またSyncによるフォルダー同期は、必ず双方向のフォルダー同期となる。ゆえに、あるパソコンのフォルダーを「マスター」にして、そのコピーをほかのパソコンに同期させたり、ほかのパソコンではファイルの追加/変更/削除をできなくするといった、「一方向のフォルダー同期」はできない。
SyncはWindowsだけでなく、Mac OS Xにも対応予定だ。Mac版がリリースされれば、WindowsパソコンとMacの間で、フォルダーを共有できるようになる。さらに、MeshにはWindows Mobileなどとのフォルダー同期機能もあったので、将来的にはWindows Phone 7、iPhone/iPadなどとのファイル共有も可能になるかもしれない。
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