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アキバで恥をかかないための最新パーツ事情2010 第4回

知ったかできるパーツ基礎知識【ケース、電源、クーラー編】

2010年04月22日 12時00分更新

文● G&D Matrix

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CPUクーラーは素材が重要
銅とアルミの特性を知っておく

 CPUクーラーの素材には銅とアルミが使用されている。Intel LGA775世代が出始めた頃までは、「オール銅製」を謳うモデルが多数販売されており、アルミに比べて材料費の高い銅をふんだんに使用することから、比較的高価なモデルが多かった。ただし現在ではサーバー用途のパッシブヒートシンク(ファンが搭載されないヒートシンクのみのタイプ)を除き、ほとんどその姿は見られなくなった。その理由から銅とアルミの素材特性を知っておきたい。

ZALMANの「CNPS7500/9500」シリーズには、銅製フィンタイプと、アルミと銅のハイブリットタイプの2種類が存在する。このように同じ製品でも異なる材質で区別して販売しているものもある

 銅は受熱能力がアルミよりも優れ、熱移動するスピードが速い。また銅はアルミに比べ質量が重いことは容易に想像できるだろう。これを踏まえて説明すると、銅は受熱能力は高い分、自己放熱能力は低いため、CPUコアからの素早い熱移動は可能でも放熱フィンにまで銅を使ってしまうと、いわゆる“熱離れ”が悪くなる。そのために搭載するファンのスピードはある程度の能力を必要とする(=高回転)。また銅は質量が重いため、大型CPUクーラーを作った場合、マザーボードがその重量に耐えられず、バックプレートを使用したネジ留め式の搭載方法でも基板が大きく歪んでしまう。よって大型化には限度がある。
 そこで現在市販のCPUクーラーメーカーの多くが、自己放熱能力に優れ、比較的軽いアルミを放熱フィンに使用し、CPUコアと接触するベース部には受熱能力の高い銅を採用するようになった。

ニッケルコーティングされた純銅製ベースと48枚のアルミニウムフィンで構成されたトップフロータイプのThermaltake製CPUクーラー「Frio 冷却魂」。ヒートパイプ径は8mmで、合計5本がU字型に配列されているのが特徴だ

その他CPUクーラー選びのポイントとは?

 では最後にその他のポイントを挙げておこう。大枠で「トップフロータイプ」か「サイドフロータイプ」かが決まった所で、細部に目を配ることにしたい。
 まずヒートパイプの太さだが、ほとんどの製品が6mm径になっている。これはCPUコアのベース部(受熱部)幅の制約も関係しており、6本から8本のヒートパイプをすべてベース部に収めようとすると、6mmが主流となる。最近のモデルには8mm径のモデルも存在するが、筆者の使用感から、格段に冷却能力が向上するという印象は無い。ただし、マイナス面はあまり見当たらないため、これに関しては自由に選択して良いだろう。

直径8mmのヒートパイプを採用するCPUクーラー。径が太くなるほど熱を素早く移動できるので、クーラーの冷却性能が向上するとのことだが、格段に冷却能力が向上するという印象はあまり無い

 また、ヒートパイプが直接CPUのコア部に接触する“直接触式”(ダイレクトタッチ等とも呼ばれている)も非常に多く見られるようになった。記憶に間違いが無ければ、2007年2月にリリースされたサントラスト「薙刀」がそれを採用する最初のモデルで、以降このタイプは定番スタイルとなりつつある。

ヒートパイプを直接CPUに接触させて冷却させるDHTS(Direct Heat TransferSystem)を採用したCPUクーラーの元祖「薙刀(NAGINATA)」。現在のスタイルに比べるとやや遠慮がちな接触デザインながら、当時は“未知なる期待”で人気を博した

 次に「ファンが換装できるか?」もチェックしておきたい。CPUクーラーに搭載されるファンは、ほぼ静音タイプが搭載されている。なぜならば静音ファンでなければ売れないからだ。確かに駆動音は静かな方が良く、好きこのんで騒音値の高いファンを選ぶユーザーはいないだろう。ただし2つの理由から、できればファンが換装できる製品を選びたい。ひとつはファンが壊れた場合。オープンフレームタイプや、デザインに凝ったCPUクーラーを選ぶと、ファンの着脱ができない場合がある。つまり万が一ファンが壊れるとCPUクーラーそのものが使えなくなってしまう。「壊れたら買い換える」も自作好きならではの考え方とは言え、念のため頭に入れておきたい。

独自のファンを採用するCPUクーラーは、万が一ファンが壊れてしまうと、製品そのものが使えなくなってしまう可能性がある

 さて、もうひとつの理由は「ファンを換装したい」と思うときが来るかもしれないからだ。なにやら当たり前のような理由だが、気候による室内温度の変化や、ビデオカードなどの構成パーツアップグレードによる筐体内温度上昇時(オーバークロックに急に目覚めた等も含む)など、予期せぬことでワンランク上の回転数が欲しい場合が出てくる可能性はなきにしもあらず。ここは転ばぬ先の杖で、留意しておきたい。

CPUクーラーひとつにしても、様々な選択肢があるのが自作の醍醐味。いろいろ試して自分なりの最強CPUクーラーを選び出すのもおもしろい

 そして本当にこれが最後となるが、価格が高い=高冷却は当然ながら過信してはいけない。冷却関連パーツでは昔からこの“公式”が生き続けているきらいがあるが、全部を否定する訳ではないものの、ある程度疑いの目を持っていた方が良いだろう。自作ユーザーの目がシビアになるにつれ、誇大表記は以前ほどではなくなっているが、中には明らかに「違うのではないか?」と思えるものが一部存在することも事実。ただしこの考え方を決してマイナスには捉えず、自ら考えてみること、なにより自作を重ねる毎に経験値も上がり、そんな“疑いの目”も自分で判断できる目に変わって行くに違いない。それを知った時に、自作の楽しさは格段に向上されていることだろう。自作の面白さはそんな所にもあるのだと筆者は考えている。

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