このページの本文へ

2009冬 プリンター「買い替え」のツボ 第2回

最新プリンター 売れ筋のミドルレンジ3機種でガチンコ勝負!

2009年11月20日 12時00分更新

文● 池田圭一

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

キヤノン「PIXUS MP640」

外観:シンプルでどこにおいても邪魔にならない

 まずは収納時の外観からだ。銀白色のボディーには黒のラインが入り締まって見える。排紙トレイはおろか、コントロール部分も閉じられるため単なる箱に見える。

 操作部分を開くと、フタ側に3.0インチの液晶ディスプレーが、その下面に操作ボタン類がある。なお、第3回の記事で紹介予定の上位機「MP990」では、35mmフィルム読み取り機能があるためスキャナー部のカバーが厚くなっているが、基本的には共通のデザインである。

トレイ格納時と使用時。メモリーカードスロットもカバーで覆われ、すっきりしている

 本体サイズは、幅450×奥行き368×高さ176mm、重量は約8.8kg。今回比較した3機種の中では、サイズ・重量ともに中ぐらいだが、実際に設置してみると3機種の中で一番コンパクトに見えた。収納時には余計な凹凸がないからであろう。しかし使用時(特にはがきや写真印刷時)には、後部トレイを引き出す必要があり、背面を壁にぴったりつけるわけにはいかない。また、実用上は問題ではないが後部にトレイがある関係上、スキャナーのカバーも90度までは開かない。

リビングなどに設置しても違和感の少ないシンプルな外観だ

下部内蔵のトレイと、折りたたみ式の後部トレイから給紙し、前面に排紙される

 前面にある排紙トレイはカバーとなっており、印刷するときに自動的に開く。給紙は2系統あり、排紙トレイの下にA4用紙用のトレイが格納されている。後部の開閉式の給紙トレイと合わせて、最大300枚の普通紙をセットできる。

 底部トレイの用紙は内部でUターンするため、写真用など厚手の用紙、はがきサイズやL判などの小さな用紙は使えない。先に挙げた用紙には、後部トレイを使う(はがきの場合最大40枚)。

 一方、CD/DVDなどのプリンタブルメディアは、製品に付属するカートリッジにセットして、排紙トレイの奥にある専用のスロットに挿入することで印刷できる。

底部トレイにはA5〜A4用紙を、普通紙なら150枚までセットできる

付属のCD/DVDトレイカートリッジに取り付け、本体の専用スロットに差し込む

 スキャナーユニットを持ち上げると、印刷エンジン部分が見える。電源を入れた状態でスキャナーを上げると、インク交換モードに移行して、ヘッドが中央に出てくる。インクは5色だが、C(シアン)・M(マゼンタ)・Y(イエロー)の基本3色に加えて、染料/顔料と種類が異なる黒インクを2タイプ用意している。

 インクノズルのあるヘッド部分は一体型だが、インクタンクは独立。インクタンクにはチップが搭載されていて、インク使用量などを比較的正確に検出している。

スキャナーが大きく開かないため、手を差し入れての交換となる。取り付けると赤色のランプが発光する。タンクが半透明でインク残量が目に見えるのも分かりやすい


操作:液晶画面と回転式セレクターで快適

 適当な場所に設置して電源ケーブルをつなぎ、本体前にある操作パネルを開けてみる。左上の電源ボタンを入れると、内部機構のチェックとインクヘッドの清掃などを短時間で済ませて、メイン画面が表示される。せっかくなので無線LANに繋いでみよう。

複数のボタンと液晶画面で操作パネルを構成。中央の半透明の部分は回転式セレクターだ

 メニューの「設定」→「無線LANのセットアップ」と指示していけば、AOSS/WPS/WCNといった自動接続機能を使って無線LANアクセスポイントにつなげる。画面に表示されるアクセスポイントを選んで、接続するための暗号キーを手動で入力することも可能だ。実際に操作してみたところ、複雑な暗号キーでも回転式セレクターを回しながら文字を選べるのが楽だった。

無線LANセットアップを開始する。手動のほかAOSS、WPS、WCNの自動接続機能に対応。アクセスポイント選択後に暗号キーを入力する。なお、無線LANは有線LANとの切り替え式である

 パソコンとの連携を考えなければ、この状態ですぐにカラーコピーや、メモリーカードからの印刷、スキャンしたイメージのメモリーカード保存などが実行できる。複合機のメリットはここにあるといってもいいだろう。MP640は操作部分と表示部分が分離しており、ボタンや回転式セレクターに指をかけたまま各種メニューを選べる。タッチパネル方式のものと比べて各ボタンも大きめで押しやすく、操作する場所がまとまっているため扱いやすい。

メモリーカード上の写真を印刷する。トリミングや明るさ調整などの簡易編集も可能だ

 パソコンで利用する場合には、ネットワークを経由した設定ツールなど、各種ユーティリティをインストールする。複合機にありがちだが、ネットワーク設定、簡易印刷、スキャナー機能などさまざまな要素が個別のユーティリティとなっているのがやや面倒で残念だ。

 せっかく本体のコントロール部分のできがいいのだから、パソコンから使うときも同様のグラフィカルインターフェイスを用意するなど統一感のある画面構成にしてほしいと感じる。

ウェブサーバーを内蔵し、ウェブブラウザーからネットワーク接続状況の確認や設定が可能だ

Canon Easy-PhotoPrint EX。各種フォーマット/レイアウトに応じた写真印刷が行なえる

Canon MP Navigator EX。スキャナー動作用のユーティリティ

 機能面で面白いのは、CD/DVDレーベルのコピー機能があること。これにもパソコンは不要。スキャナーのセンサーガラスの上にレーベル面を下にセットすると、レーベルのイメージが自動的に読み取られて、専用カートリッジにセットしたメディアに位置を合わせて印刷してくれる。もちろん、写真や文書などを組み合わせてオリジナルレーベルも作れるのだが、同じレーベルのメディアを複数作るときには、原版となるものを最初に作ってそれをコピーするだけで済むのがいい。


画質・速度:ミドルレンジでもきれいな写真印刷

 印刷品質と速度についても記しておこう。基本3色と2種類の黒という5色インクとはいえ、専用の高品質用紙を使えば6、7色インクの出力に匹敵する仕上がりだ。特に各色のグラデーションが滑らかで、かなりクオリティーが高い。写真印刷用として十分な実力を持っている。

 また、印刷速度もまずまずといったところである。試しに、サードパーティー製の光沢写真はがき用紙にメモリーカードから印刷してみたところ、20枚を印刷するのに19分47秒かかった(写真「きれい」で出力)。紙送りやヘッド清掃などのロスがなければ、1枚あたり45〜48秒である。なお、標準モードでは1枚あたり33〜35秒だった。

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン