生まれたときからロックンロールって言ってました
―― はじめに、デPの音楽経験はいつからですか?
デP 生まれたときからロックンロールって言ってました。
―― ……。
デP いや、嘘です。ガキの頃からピアノをやってて、DTMは中学生からですね。親父が買ってきた機材をいじっているうちに、いつのまにか始めてました。
―― 中学からDTMというのは早いですね!
デP 当時、SC-8850※1とかMU2000※2が出てきて、MIDIサイトがすごく流行ったんです。自分が始めたのもそういう時期に被ってまして、ギャルゲーの耳コピとかしてました。
※ SC-8850 : ローランドのDTM用音源モジュール「SC」シリーズの1つ。1999年に発売された。パート数は64パートで、最大同時発音数は128音。
※ MU2000 : ヤマハのDTM用音源モジュール「MU」シリーズのハイエンドモデル。上記と同じく1999年に発売された。パート数、発音数なども同様。SC-8850がローパスフィルターのみなのに対し、こちらはハイパスフィルターも搭載するなどの違いがある。
―― 好きな音楽はどんなものですか。
デP ゲーム音楽と、70年代のプログレが好きですね。特にイタリアのプログレ。あの辺りは面白い曲が多いんです。イタリアの音楽って感情表現がいつも感情に直結してるんですよ。「わひょーい、超楽しいぜ!」みたいなのが、聞いてて伝わってくるんです。
―― プログレがお好きなのであれば、そういうミクの曲は書かないのですか?
デP 最近作る曲は、軽く聞いたら普通の曲だけど、実はこれってプログレじゃね? みたいなものが、俺の中のプログレ観になってます。コード進行の美学とか、今のつなぎ、すごくね? とか。そもそも歌詞がプログレッシブですしね。なので最近は、変拍子とかメロトロンとかじゃない「プログレッシブな活動」をしています。
―― 確かに、昔ながらのプログレにのっとって作ると、それはすでにプログレッシブじゃないですもんね。
デP そうなんですよ、それはただのプログレっぽい曲じゃないですか。なので、現在の、21世紀のプログレを作るようにしてます。
―― 新しいことがお好きなんですか。
デP 特に意識したことはないですけど。人がやっていることは、もう俺がやるまではないと思っちゃいます。
―― ゲーム音楽もお好きなんですよね。
デP そうですね……大学時代から、日本ファルコムという会社でゲーム音楽クリエイターをやってたんですよ。もともとゲーム音楽が好きで、そこそこ有名なRPGのラスボス曲を作りたかったんです。
―― その後、ゲーム会社は退職されてますが、これは?
デP 最初の一年くらいは楽しかったんですけど、仕事としての自覚が芽生えてくるとキツイこともありましたので。
―― キツイというのは、どういった感じの……。
デP 自分のやりたいことと、お客さんに受け入れてもらえる方向性と、あとは上司の言っていることの三すくみですね。で、どれが一番重要視されるかというと、上司の言っていることなんです。
―― そこでクリエイター魂が燃えてミクで曲を?
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デP それがそういうわけでもないんですけど。ミクで曲を作ったのは、オタクの端くれとして電波ソングに興味を持ったのがきっかけです。MOSAIC.WAVさん※3にハマって、「MOSAICさんすげー、俺も作りたい!」って思ってた頃に、ミクも出始めてたので「既成事実」という曲を書きました。
※3 MOSAIC.WAV : み~こ(Vo)と柏森進(Key)によるアキバ系音楽ユニット。ランティス所属。美少女ゲームの楽曲を主に制作している。代表曲に「キュン・キュン・パニック」など。