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池田信夫の「サイバーリバタリアン」 ― 第84回

始まった電子ブック戦争

2009年09月16日 12時00分更新

文● 池田信夫/経済学者

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グーグルとアマゾンが火をつけ
アップルも参戦?

 新聞・出版が地盤沈下する一方、携帯端末で読む「電子ブック」が勢いを増してきた。グーグルは8月26日、Google Booksプロジェクトによってデータ化した100万冊以上の本を、パブリックドメイン(著作権なし)で公開した。これはEPUBという業界標準の電子書籍フォーマットで、この規格に対応している端末なら無料でダウンロードして表示できる。PDF形式でも公開されており、紙に印刷して製本することも可能だ。

Kindle DX アマゾンが提供する電子書籍端末「Kindle DX」。3Gの通信機能を内蔵し、端末単体でコンテンツをダウンロードできる。アメリカ国内では一般での認知度も上がっており、不景気の昨今だからこそ自宅で楽しめる機器として、クリスマス商戦の目玉になるという声もある

 他方アマゾンは「Kindle」(キンドル)という専用端末を用意。その上で表示する独自フォーマットの電子書籍を30万タイトル以上そろえ、端末はすでに50万台以上出荷したという。さらにアップルが電子ブックを表示できる「タブレットPC」を出すという噂も根強く、スティーブ・ジョブズCEOはその可能性を否定していない。また日本ではiPhoneや携帯端末向けの電子ブック配信も急成長しており、また「ケータイ小説」がベストセラーになる現象も起きている。

 まだ状況は混沌としているが、すでに新聞・雑誌は実質的にウェブに代替されている。本は電子化の影響が少ないのは、手に持って読みやすい端末がないという物理的な制約によるところが大きい。したがって電子ファイルのまま読みやすい端末ができれば、かさばる本より電子ファイルのほうがはるかに便利だ。Kindleは読みやすく、大型のKindle DXでも約500g。約500ドルと価格が高い点をのぞけば紙の本とほとんど変わらない。

 しかしこうした電子ブックは、早くから試みられながら、ほとんど成功したことがない。その最大の原因はフォーマットがバラバラで、特定のメーカーの端末でしか読めないものが多く、そのために多くのコンテンツがそろわなかったことにある。アマゾンは自社だけの規格だが、配信インフラは全世界にもっているので、アップルのiTunesのように、これが事実上の標準になれば、世界に普及することも考えられる。

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