ケータイが無線アクセスポイントを作れば
何ができるようになる
ホームUとの組み合わせ以上に注目したいのが、N-06Aのアクセスポイントモードだ。FOMAのパケット通信を使ってインターネット接続をし、端末が無線LANのアクセスポイントになるモードである。PC接続扱いのデータ通信となるため、パケ・ホーダイ ダブルの最大料金(月1万3650円)まで達することになるが、ニンテンドーDSやPSPなどのゲーム機器、iPod touch、ネットブックなどの新しいデバイスを街中で最大限に活用したいユーザーにとって魅力的な機能だ。
同様の機能はイー・モバイルが販売するWindows Mobile端末でも可能で、普段はスマートフォンとして、必要な時には他のデバイスにネット接続を提供するアクセスポイントとして、メインのケータイ以上にセカンドケータイとしての役割を担うポテンシャルを持っている。
しかし、N-06Aはメインのケータイとして活用するポテンシャルを持っており、ビジネスユーザー以外にも、友達と集まってゲームで対戦するような、遊びの環境でも重要な役割を果たし始めるのではないだろうか。
最近マクドナルドに入ると「マックでDS」のキャンペーンの効果か、休日になれば親子連れで子どもがDSを持ってマクドナルドにやってくる光景を頻繁に目にするようになった。また都心の店舗では、学校帰りの子どもたちが100円で飲み物を買って、みんなでワイワイゲームをやる光景を目にする。
この光景だけ見ても相当画期的だと思うが、この遊びの様子が街の公園や、自然の中でも展開されたらどうだろう。マクドナルドとは違った経験が待っていると思うし、それに対応するコンテンツも必要になってくる。位置情報やフィールド情報を活用したゲーム、というジャンルへの期待もできる。
これまで無線LANは、誰かが用意してくれた場所で使うのが基本だった。自宅ならその限りではないが、街中では設置してあるエリアへ自分が入る、という感覚である。ところがN-06Aがあると「自分がいるところが無線LANポイント」というこれまでとは違うモードになる。
データ通信カードをケータイとは別に持っていなくてもケータイ以外のデバイスをどこでもネット接続できてしまう便利さは、iPod touchをしばらく使ったことがあるユーザーならわかるのではないだろうか。ネット接続が必要なデバイスを場所に関係なく使えるようになった時の機能やコンテンツなどを自由に発想してみる必要がありそうだ。
筆者紹介──松村太郎
ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性に付いて探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET。
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