Twitterのつぶやきは減少、だが問題が解決したわけではない
Twitterの情報伝播能力の高さは非常に高く、パワフルなツールです。間違ってはいけないのは、あくまで立ち上がったのは現地にいる「人」であり、Twitterがあったから抗議運動が始まったのではないということです。
メディアでは「イランから起きたTwitter Revolution」的な取り上げられ方も多いですが、実際はTwitterユーザーはイラン国内には少なく、メディアリテラシーが高い人ばかりではありません。イラン国内でデモを組織する等の情報交換は、あくまでSMSや電話、口コミといった従来型のツールが使われているそうです。
先の例のイラン人学生も「テヘランで起きていることより大きなムーブメントがTwitterで起きているみたいだね!」とコメントしています。
ただし、ムサビ派の人たちが求めていることの一つは、海外からの世論を形成することであり、その目的を達成するための手段としてはTwitterが非常に大きな役割を果たしたことは間違いありません。メディアが規制される中、市民が作成したTweetや写真、動画といったコンテンツがメディアに使われるという潮流が加速されたことも事実です。
問題はこれからです。護憲評議会は29日、アフマディネジャド大統領の「再選」を最終確認しました。これにより、ムサビ氏らが抗議活動を続けることは非常に難しくなります。
これまでにも逮捕された改革派の人たちは拷問により「海外の策略だったと自白強要された」という記事(リンク先は記事原文)も流れました。先の大学生のtweetの中にも、逮捕されて釈放された友人からのヒアリング結果が伝えられる中に、書類を渡されサインを強要されたとの記述がありました。
ネット規制の目をくぐり抜けて情報発信をしてきた人たちも逮捕の危険性があります。実際イランはブロガーが非常に多い国なのですが、今までに多くのブロガーが逮捕の憂き目にあっています。
イラン人学生のTwitterには国際社会や海外メディアがイランの問題を「終わったこと」として既に取り上げなくなっていることを心配したtweetがあげられています。「まだ終わっていない。我々を見捨てないで」。そんな中、「iran」や「iranelection」という単語を含むTwitter記事の数は日に日に減っています。
イランの問題はまだ終わったわけではありません。Twitterの中ではブームが熱しやすく冷めやすいのも事実ですが、正義のために立ち上がった若者達の未来のためにもこれ以上残虐なことが起きぬよう、国際社会の目をゆるめてはいけないのではないかと思います。