いよいよWindows機として使ってみた
最初に気になるのは、定番のベンチマークでどの程度のスコアを見せてくれるのかと言う点。やはり注目はCPU性能だろう。というわけで、CPU性能が顕著に現れるベンチマークを使って、Core i7-965 Extreme Edition(以下Core i7-965 EE)、Phenom II X4 955 Black Edition(以下、Phenom II X4 955 BE)と比較してみる。
テストPCのスペックは以下のとおりだ。
項目 | MacPro | Core i7-965 EE System | Phenom II X4 955 BE System |
---|---|---|---|
CPU | Xeon E5520 2.26GHz ×2 | Core i7-965 Extreme Edition 3.20GHz | Phenom II X4 955 Black Edition 3.20GHz |
マザーボード | MacPro | MSI X58 Pro(Intel X58 Express BIOS 7.1) | MSI 790FX-GD70(DDR3、AMD 790FX BIOS 1.2) |
メインメモリ | PC3-8500 DDR3 SDRAM 1GB×6 | PC3-8500 DDR3 SDRAM 1GB×3 | PC3-8500 DDR3 SDRAM 2GB×2 |
グラフィックスカード | GeForce GT 120(グラフィックスメモリ 512MB) | ATI Radeon HD 4770 リファレンスカード(グラフィックスメモリ 512MB) | ATI Radeon HD 4770 リファレンスカード(グラフィックスメモリ 512MB) |
ストレージ | HGST HDE721064SLA 640GB | HGST HDP725050GLA360 500GB | SSD OCZ Vertex Series 120GB |
電源ユニット | 推定 1200W | Cooler Master RealPowerPro 1250W(定格1250W、ピーク1500W) | Cooler Master RealPowerPro 1250W(定格1250W、ピーク1500W) |
OS | 64bit版 Windows Vista Ultimate | 32bit版 Windows Vista Ultimate | 32bit版 Windows Vista Ultimate |
Phenom II X4 955のストレージはHDDに揃えるのが自然だが、後述するPC Mark Vantageがストレージデバイスの影響を大きく受けるということを見てもらうために、あえてSSDを選んでいる。
ベンチマークと言えば、「3DMark Vantage」および「3DMark 06」が定番だが、両者ともCPUの項目で止まってしまうため、スコアを得ることができなかった。筆者も16CPUでのテストは行なったことがないので、これがソフトウェアの問題なのか、それともドライバーやOS側の問題なのか、正直なところよく分からない。
CPUの実力が発揮できていないエンコード
まずはエンコード性能から見ていこう。エンコード(トランスコード)では定番の「TMPGEnc 4.0 Xpress」と、サイバーリンクの「Media Show Espresso」を使用した。元動画は解像度720×480ドット/5分33秒のMPEG2ファイル(DVDソース)で、以下の3つのパターンでエンコードを実施している。
TMPGEnc 4.0 Xpress
- MPEG-2(720×480ドット)→MPEG-4(352×288ドット)
- MPEG-2(720×480ドット)→WMV(720×480ドット)
- MPEG-2(720×480ドット)→Blu-ray MPEG2(1920×1080ドット)
Media Show Espresso
- MPEG-2(720×480ドット)→MPEG-4(720×480ドット)
- MPEG-2(720×480ドット)→WMV(640×480ドット)
- MPEG-2(720×480ドット)→MPEG2(1920×1080ドット)
どちらのアプリケーションもグラフィックスカードで演算する「GPGPU」をサポートしている。TMPGEnc 4.0 Xpressは「NVIDA CUDA」、Media Show Espressoでは「ATI Stream」が使用できるが、ここではどちらもオフにして純粋にCPUのみで演算させた。グラフの単位は「秒」なので、バーが短いほど高速に処理を終えていることになる。
Phenom II X4 955 BEのシステムのみストレージにSSDを用いているため、若干有利となっているが、それを割り引いて見ても、Mac Proのエンコード性能は決して速いとは言い切れない。その要因は、CPUコア数が多すぎるため、調停によるオーバーヘッドが大きく影響してしまうためだ。
それでも2.26GHzのXeonが、Media Show EspressoのMPEG-2のアップコンバート変換で3.2GHzのCore i7-965を上回ったことからも、コア数の効くエンコーダーやトランスコーダーアプリケーションを用いれば、そなりに意義が見いだせそうだ。
3D CGのレンダリングは圧倒
続いてはCPUで3D CGレンダリングを行なう「CINEBENCH R10」だが、こちらはいかんなく16CPUの実力を発揮し、他を圧倒している。こういった用途がMac Pro本来の使い方だろう。
ゲーム機としての性能は……
GeForce GT 120(GeForce 9500 GT相当)のMac Proだが、実際のゲーム性能はどのくらいあるだろうか。ということで、比較的軽いオンラインゲームのベンチマーク、「モンスターハンターフロンティアオンライン」と、Unreal Engine 3.0を採用するRPG「ラストレムナント」のベンチマークを取ってみた。
比較対象のCore i7-965、Phenom II X4 955は、ともにミドルレンジのグラフィックスカードとなる「ATI Radeon HD 4770」にて計測している。
ATI Radeon HD 4770と比べてしまうのは、やや酷かもしれないが、GeForce GT 120に、ゲーム性能はあまり期待するのは、やはり厳しいことが分かる。
とはいえ、スコア自体はゲームがプレイできないというレベルではなく、普通に遊べる程度のパフォーマンスはある。ゲームを考えるなら、やはりオプションでATI Radeon HD 4870を搭載したいところだ。