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WWDC 2009 総力レポート ― 第7回

開発者が見る、ここがスゴいぞ新iPhone

2009年06月10日 18時00分更新

文● 広田稔/ASCII.jp編集部

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CRI・ミドルウェア iPhone&SmartPhone推進室長 幅朝徳氏


iPhone&SmartPhone推進室は、iPhoneを始めとしたスマートフォン向けに、音声や動画再生のためのツール&ミドルウェアを提供している部署(詳しくはこちら)。最近ではアプリのプロデュースや開発支援、各種プロモーション支援、ビジネスマッチングなど、スマートフォン分野での事業を積極的に展開している。自身のブログはこちら


[注目ポイント]アプリ内課金、外部機器との連携、動画機能

 OS 3.0への進化でもっともインパクトがあったのは、アプリ内課金への対応だと思います。今まで難しかったコンテンツとアプリの切り分けが可能になり、コンテンツごとにアプリ内で課金ができるようになるということで、iPhoneでのビジネスモデルがまた大きく変わると思います。iPhoneと既存ケータイの課金スタイルの差が解消され、これからはより多くのコンテンツプロバイダーさんがiPhoneの市場に参入してくるようになると思います。

 また、Dockコネクタの解放でiPhoneと周辺機器がリンクできるようになり、今までiPhone単体では実現できなかったことが可能になります。「iPhoneと周辺機器をつなぐためのミドルウェアのようなもの」もニーズが高まってくると考え、こちらもあわせて積極的に研究をしていきたいと思います。

 OSが3.0になったからといって、今後のミドルウェアのあり方や、要求される技術は根本的には変わらないと思いますが、開発者の方々にニーズをヒアリングしながら、細やかな対応をしていくつもりです。

 iPhone3G Sでは、動画が撮影/編集できるというのが大きなポイントだと思います。「Tap To Focus」も、タッチパネルを生かした、ある意味でとてもiPhoneらしい新機能といえますね。

 今まではあらかじめ用意した動画しか再生できなかったのですが、これからはiPhoneで撮影までできてしまうので、動画を使った何か新しい遊びや、実用的なアプリも増え、またCGMの世界も広がると思います。動画では、弊社でもすでに「CRI Sofdec」というミドルウェアを提供しているので、今後どうお手伝いしていけるかを考えているところです。

Sofdec for iPhone/iPod touch




 独自進化を遂げた携帯電話が浸透した日本において、iPhoneはその機能不足がウィークポイントとして指摘されていました。しかし、今回の発表で、コピー&ペースト機能、動画撮影、MMS対応、デジタルコンパスなどが加わって、日本の携帯電話と対等以上に戦える端末になってきたと思います。処理スペックの向上やHSDPAの7.2Mbpsの対応などにより、動画などの大容量のデータをサーバー(クラウド側)から扱いやすい環境になったことも大きな変化のひとつですね。



物書堂 代表取締役 廣瀬則仁氏


2008年7月のiPhone 3G発売と同時に「ウィズダム英和・和英辞典」をリリース。その後、「模範六法」「プチ・ロワイヤル仏和・和仏辞典」「大辞林」「新TOEIC テスト 英単語・熟語 マスタリー2000」を発売。特に大辞林はiPhone 3Gのテレビコマーシャルでも紹介されるほどのヒットとなる。会社のサイトはこちら


[注目ポイント]アプリ内課金

 今回の基調講演で私が最も注目した機能は、アプリ内課金です。これまではタイトルごとにアプリケーション化する必要がありましたが、コンテンツ単位で購入できるようになれば、ひとつのアプリの価値を後からどんどん高めていけるでしょう。辞書アプリの場合、好きな辞書を追加で購入して、いわゆる串刺し検索に対応できます。

 PCで当たり前にできていたことがひとつ実現することになるのですが、これで済まないのがiPhoneの面白さです。PCでできることからさらに一歩も二歩も進んだ新しい価値を追加していくことがiPhoneデベロッパーの醍醐味です。

 具体的に何ができるのかいまのところはまったく想像できませんが、どこかのすばらしいデベロッパーが、これまでにない面白いアプリケーションを作ってくれるのではないかと今からワクワクしています。

大辞林
大辞林

 これからはユーザビリティーを向上するだけでなく、エンターテインメント性を高めることがとても重要になってきます。小さな試みですが、私が開発した「大辞林」ではコンテンツの見せ方を少しだけ工夫することで、それまでとは違う魅力を感じてもらうことができました。

 ソフトを開発しているデベロッパーだけでなく、コンテンツの制作に携わっている方々も、これまでとは違う視点でコンテンツをデザインしていけば、面白いものがどんどん生み出されると期待しています。

 メディアが紙やウェブから携帯デバイスのスクリーンに変わっただけというとらえ方ではなく、もっとアプリケーションを活用して人々にこれまでにない価値をもたらしていくことができれば、出版業界は新しい時代を迎えることができると思います。ものすごい数のデベロッパーが「しのぎ」を削っているため、出版の分野でもiPhoneプラットフォームが重要な役割を担うことになると信じています。

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