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WWDC 2009 総力レポート 第7回

開発者が見る、ここがスゴいぞ新iPhone

2009年06月10日 18時00分更新

文● 広田稔/ASCII.jp編集部

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ユビキタスエンターテインメント 代表取締役兼CEO 清水亮氏


電気通信大学在学中に米マイクロソフトの次世代ゲーム機向けOSの開発に関わり、1998年末にドワンゴ入社。1999年に同社で携帯電話事業を立ち上げる。2002年退社し、米ドワンゴ・ノース・アメリカのコンテント開発担当副社長を経て、2003年ユビキタスエンターテインメントを設立。2005年、独立法人情報処理推進機構(IPA)により、天才プログラマー/スーパークリエイターとして認定される。iPhoneアプリとしては「ZeptoPad」を提供中。会社のサイトはこちら


[注目ポイント]プッシュ通知機能

 プッシュ通知機能は、携帯電話にネット機能が搭載されることで初めて実現した新しいモバイルコンピューティングの手法ですが、その割にはまだその潜在能力が活用されているとは言い難いのが現状です。プッシュ機能はゲームにも実用アプリにも利用して、アイデア次第でさまざまな活用が可能です。

 日本のケータイはアプリ化するのと同時にプッシュ通知機能を活用することをやめてしまったのですが、この分野はまだまだ新しいことができると信じています。

 iPhoneは特に長時間べったり遊ぶゲームやアプリよりも、生活の時間、文脈の中でときどき使うようなアプリの方が適していると思います。

 例えば、自分の持っている株が急騰または急落したときに教えてくれるとか、ゲームを途中終了しても裏側で進行していて、ときどき進行状況やアクシデントを教えてくれるとか、ライフスタイルを変えるようなアプリ、コンテンツの登場が期待できます。

 そういう「あ、そうそう」という「気づき」コンテンツを実現するのがプッシュ通知機能です。この機能の活用の仕方いかんによって、iPhoneは単なる便利なモバイルコンピュータから、ライフスタイルそのものを変革するより強力な生活サポートツールへと変貌を遂げると思います。



APPLIYA 執行統括責任者 新城健一氏


フリーライターとしてビデオゲームから伝統芸能まで幅広く携わり、40冊以上の書籍を上梓。インターネットメディアでは、マーケティングに基づき、メディアプロデューサーを務めた。APPLIYAにおいて「犬カメラ」など、特許申請中のアイディアをアプリ化したのち、EVANGELIONシリーズや「浮世絵 美人画」など、ライセンスコンテンツをアプリ化。約半年で38個のアプリをリリースしながら、海外インフルエンサーとの連携や、主要国のアプリランキング日次データの収集・分析など、マーケティングに注力し、独自のポジショニング確立に努める。企業のサイトはこちら


[注目ポイント]アプリ内課金、ペアレンタルコントロール

 APPLIYAとして注目する機能は、アプリ内課金ペアレンタルコントロールです。

 アプリ内課金によって、売り切りで終わっていた状況から、有料サービスの継続的な課金提供が可能になると考えられます。また、いわゆる「アイテム課金」的な使い方によって、アプリ内でのコンテンツ販売が可能になります。非プログラミング系クリエイターの参入機会提供の場として考えることで、面白い世界が見えてくると思います(これについてはまた弊社からのニュースでお伝えしたいです)。

 アプリ内課金により、アプリ自体の機能だけではなく、その中に含まれるコンテンツの質によって売上を左右するような状況が生まれるのではないでしょうか。

EVANGELION vol.5 パズル

 そして、コンテンツの質を考える上で重要なものが、ペアレンタルコントロールだと思います。APPLIYAが過去に出したアプリで言えば、EVANGELIONシリーズにおいて、年齢制限をふまえ自主規制したような画像などが出せるようになるでしょう。これによって、コンテンツの質的変化が起こると期待しています。

 この質的変化は、非プログラミング系クリエイターの参入をさらにうながし、アプリクリエイターの幅を広げることにもつながるでしょう。21世紀のゴールドラッシュへの参入障壁が、またひとつ低くなると思われます。

 APPLIYAは、そうした仕組みの提供を積極的に行なっていきます。開発力、コンテンツ力、マーケティング力という3つの力が組み合わさったとき、iPhoneアプリの市場においてビジネス展開の見通しがでてくるのではないか。そう考えています。

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