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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 ― 第76回

学部丸ごとiPhoneユーザーでキャンパスはどうなる?

2009年06月09日 16時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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今週の1枚
【今週の1枚】左から青山学院大学 宮治裕准教授、稲積宏誠教授、魚住清彦学部長、飯島泰裕教授。iPhone導入が学生だけでなく、教員にも導入されたそうだが、「学生の方がすぐに有効に活用し始めている」とのこと

 2009年度で2年目を迎える青山学院大学社会情報学部。美しい淵野辺キャンパス(神奈川県相模原市)で学ぶ1年生、2年生全員に、iPhone 3Gが配布され、iPhoneを活用した授業がスタートしている。iPhoneが日本で発売されて11ヵ月が過ぎようとしているが、教育機関で500台以上のまとまった導入は初の事例となる。

“デジタルキャンパス”を
スマートフォンで構築する

学生に配布されたiPhone
出欠確認アプリがインストールされたiPhoneのホーム画面。代返をすべく声色を変えて返事をするという学生の伝統的技巧は、ここには存在しえない

 今回大学の学部生全員に配布されるiPhone。研究室や授業単位で導入する例は見受けられたが、これだけ徹底してiPhoneを導入することは、どのような意味があるのだろうか。青山学院大学社会情報学部の関係者へのインタビューを交えて考えていきたい。

 「情報機器は、何か単発で開発すればいい、1人が使えばいい、というモノではありません。コミュニティーで使われていく必要があります。500人以上の学部単位でiPhoneを導入する意味は、研究室単位での導入とは意味が違う。学部全体に普及した状態は、iPhoneが小さなサイズの社会で普及したのと同じ状況を構成していることになります」(青山学院大学社会情報学部 飯島泰裕教授)

 つまり学部単位で導入することによって、小さな社会が生まれ、iPhoneのようなモバイル情報端末が社会に普及したときに起きるコミュニケーションや大学での学びのスタイル、あるいは購買活動への変化などを観察もしくは実験することができるようになる。そのために学部全体、という規模が必要だったのだ。

 学生はソフトバンクモバイル以外への通話料金と、パケット定額料金を支払うだけでiPhoneユーザーになれる。端末代と基本料金は大学が負担する。本当は4月から学生に配りたかったそうだが、ユーザーの支払先の口座番号等を集める時間が必要だったため、5月からの導入とリリース、ということになったそうだ。

 iPhoneとは直接関係しないもののソフトバンクのホワイトプラン同様、学生同士は1時から21時まで全員と通話無料だ。またグループ通話も可能。今まで通話代を気にしてメールにしたり、もらった電話で用を済ませたりと、通話代をかけないようにコミュニケーションを取ってきた大学生とはまったく違う、通話を頻繁にする大学生活というのも興味深い。

 キャンパスライフの中心である授業や学びのスタイルもiPhoneによる変化がもたらされる。iPhoneには東京システム技研と共同開発したGPS対応出欠アプリが導入されており、代返を防ぎながら授業中のインタラクションやミニテストが実施できる仕組みを構築した。このデータは、ラーニングマネジメントシステムとして導入しているNECのi-Collabo.LMSと連携し、学習管理に活用される。

 また授業の様子を自動的に録画しPodcast形式でアーカイヴしていて、欠席した学生や授業を復習したい学生がiPhoneから動画で自己学習できる仕組みを構築している。Podcastにはパスワードがかけられていて、休んだ学生がPodcastをチェックしたかどうかも管理する。

 大学生の学力向上が叫ばれている中、そのサポートをiPhoneで実現しつつ、別の体験や付加価値で差を付けようという取り組みだ。管理するところは管理するが、それ以外の学生の生活にiPhoneを溶け込ませる取り組みが、今後どのように打ち出されていくのか。とても楽しみな素地を見た感覚であった。

出欠確認アプリ1 出欠確認アプリ1
これが実際の出欠確認アプリの画面。GPSの機能を利用して現在地を確認するので、学生が実際に教室内にいるかどうかまでチェックできる

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