美観を損ねる端子類の処理にはもう一工夫を
X340 Superの特徴のひとつが、薄さ重視のモバイルノートとしては、端子類が充実している点だ。前述のtype PやMacBook Airは、薄さとデザインを優先して一般的に必要とされる端子類が少なかったり、変換アダプターを介してつなげる方式をとっていた。対するX340 Superは、標準的な形状の端子類をそのまま本体に装備しているので、変換アダプターは不要だ。
特に、この薄さの本体にアナログRGB出力だけでなく、HDMI出力も装備した点は高く評価できる。パソコン用ディスプレーの標準入力がデジタル(DVIかHDMI)に移行した現在では、映像出力もなるべくデジタルで完結させたいもの。モバイルノートでは軽視されがちな点だけに、拍手を送りたい。
デザイン面から見て残念なところは、端子類がボディーの傾斜平面からやたらと出っ張り、せっかくのくさび形ボディーの魅力を少々スポイルしてしまっているところだ。メモリーカードスロットはボディーの傾斜に口の形状を合わせているが、LAN端子やアナログRGB出力、ヘッドホン/マイクなどは、標準的な端子を側面に付けただけになっている。
端子類を傾斜したボディーからはみ出さないよう内側に付けるには、各種基板のさらなる小型化やコンポーネント配置の制約といった課題を解決しなくてはならない。つまりコストがかかる。MacBook Airのように端子部の収納ギミックを入れたりすれば、さらにコストに響く。薄型化やデザインは重要とは言え、X340 Superは価格の安さも重要なだけに、そこまで気を使う余裕はないのだろう。
バッテリー駆動時間は約3時間 大容量バッテリーもほしいか
最後にバッテリー駆動時間を見てみよう。X340 Superの公称スペックでは、バッテリー駆動時間は約3.5時間(JEITA測定法1.0による)と、バッテリー駆動を重視したタイプの製品ではない。オプションの大容量バッテリーの類は用意されていない。
バッテリー駆動時間計測ツール「BBENCH」を使用して、駆動時間を簡単に計測してみた。Vistaの電源プランが「標準設定」(の既定値)状態ではほぼ約3時間、バックライト輝度を最大に上げた状態では約2.4時間動作した。1日使えるウルトラモバイルとは比較にならないが、重さ1.33kgの薄型ノートで約3時間は悪くない。デザインを損ねない形の大容量バッテリーが欲しくなるところだ。
★
12~13型クラスのディスプレーを備えるモバイルノートといえば、日本メーカーの独壇場で、かつ高額な製品の多いジャンルだった。その領域に、真に薄いボディーと10万円以下という価格を持って乗り込んできたX340 Superは、実用的なモバイルノートを手の届きやすい価格で実現したという点に大きな価値がある。「安いモバイルノートが欲しいけど、ネットブックじゃ実用性に満足できない」という人に適した製品だ。
MacBook Airを露骨に真似したデザインは、正直好意的に評価はできないが、製品自体はMSIの実力の一端を垣間見せるものだ。予定されているXシリーズの上位機種(X400とX600が登場予定とのこと)では、デザインもオリジナルで勝負していただきたい。
X340 Super の主なスペック | |
---|---|
CPU | Core 2 Solo SU3500(1.40GHz) |
メモリー | 2GB |
グラフィックス | Intel GS45 Expressチップセット内蔵 |
ディスプレー | 13.3型 1366×768ドット |
HDD | 320GB |
光学ドライブ | 搭載せず |
無線通信機能 | IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 2.0 |
カードスロット | メモリーカードスロット(SD/SDHCメモリーカード、MMC対応) |
インターフェース | USB 2.0×2、HDMI出力、アナログRGB出力、10/100/1000BASE-T LANなど |
サイズ | 幅330×奥行き224×高さ6~19.8mm |
質量 | 約1.3kg |
バッテリー駆動時間 | 約3.5時間(JEITA測定法1.0) |
OS | Windows Vista Home Premium SP1 32bit版 |
予想実売価格 | 9万9800円前後 |
発売予定日 | 5月22日 |
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