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あなたの知らないWindows 第3回

デスクトップで楽しめるバーチャル天体望遠鏡

2009年05月09日 12時00分更新

文● 山本雅史

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テーマに沿って宇宙を解説 ガイドツアー

アポロ15から17号までのミッション記録も収録

ガイドツアーには、例えばアポロ15から17号までのミッション記録も収録されている

 WWTのもうひとつの特徴は、「ガイドツアー」という機能にある。宇宙にどんな星雲があるのか、どの位置にあるのかということは、天文学の知識がないユーザーにはまったく分からない。そこでWWTでは、あらかじめ特定の星座や星雲を紹介するガイドツアーを用意している。

 このツアー機能を使えば、メニューから見たい星雲やブラックホールなどを指定すると、WWT上でガイドが始まる。さらに、天文学者などの専門家が、その天体に関して音声ガイド(ただし英語)で説明もしてくれる。ガイドツアーはWWTが自動的にダウンロードしてくれるので、新しいガイドツアーが追加されれば、随時追加されていく。ユーザー自身の手で新しいツアーを作ることも可能だ。

 筆者のお気に入りは、アポロ15~17号のミッションを案内するツアーだ。月の地図を表示しながら着陸地点を示したり、アポロ15号が撮影した写真をパノラマ写真にして、月面の様子がその場にいるようにわかる。

アポロ15号の着陸位置

アポロ15号の着陸位置

アポロ15号が着陸した月面のパノラマ写真

アポロ15号が着陸した月面のパノラマ写真

 もうひとつお勧めなのが、「Universal Beauty」というガイドツアーだ。このガイドツアーでは、宇宙のさまざまな星雲や銀河の中から、特に画像として美しいものが選択されている。まるで絵画を見ているようだった。子供のころに見にいったプラネタリウムを思い出させる。パソコンを大画面の液晶テレビに接続して、WWTのガイドツアーを見てみると、ちゃちな家庭用プラネタリウムとは比べものにならないほどの迫力がある。

Universal Beautyで紹介されている「G1.9+0.3」という銀河

Universal Beautyで紹介されている「G1.9+0.3」という銀河。この画像はX線望遠鏡で撮影された


快適な動作環境にはそれなりに高いスペックが必要

 WWTはWindows Vista/XPなど、Windows環境で動作する。WWTを快適に利用するには、CPUやメモリー、グラフィックカードなどに、ある程度高い性能が必要になる。ただし、Core i7といったハイエンドCPUほどの性能は必要ないので、Core 2 Duoクラスの多くのパソコンで動かせるだろう。

 またWWT本体とは別に、ウェブブラウザー上で動作する「WorldWide Telescope Web Client」(以下WWT Web Client)というアドインもリリースされている。

WWT Web Client

クライアント版のWWTと同じ機能を持つブラウザー版のWWT Web Client。Mac OS XやLinuxでも動作する

 WWT Web Clientは、マイクロソフトのリッチアプリケーション実行環境「Silverlight 2.0」を利用して作られている。Windows、Mac OS X、LinuxなどのOSでSilverlight対応ブラウザー(Internet Explorer、Firefox、Safari)があれば、スタンドアロンのWWTと同じ機能を試せる。若干画面のズームや移動がぎこちないが、WWTのガイドツアーはそのまま提供されている。

 使ってみてつくづく残念なのは、すべてのガイドツアーが英語のみということだ。もし日本のマイクロソフトが社会貢献ということを打ち出すなら、こういったソフトを日本語化して小中学校に配布すると、素晴らしい貢献と思えるのだが……。是非とも日本語化してほしい。

 あるいは、日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)が打ち上げた月周回衛星かぐやのHD映像を利用した月の映像などをWWTで利用できれば、今までとまったく違うリアリティのある月地図ができるだろう。

夜の地球を撮影した画像

夜の地球を撮影した画像。日本や中国の沿海部の明かりで人口が集中しているのがわかる

 WWTのおもしろさ、素晴らしさは言葉では説明しにくい。興味を持った方は、ぜひWWTをインストールして、試してみてほしい。一度動かせば、あなたもWWTの虜になってしまうだろう。

WorldWide Telescopeの最低および推奨システム要件

WorldWide Telescopeの最低(必須)および推奨システム要件

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