マイクロソフトの研究部門「Microsoft Research」が開発した、デスクトップ上に天体望遠鏡を実現したアプリケーション「WorldWide Telescope」(以下WWT)が、密かな人気を呼んでいる。
WWTは世界中の研究機関が持つ、さまざまな天体の画像を集めた“バーチャル天体望遠鏡”ソフトだ。Microsoft Researchでは、教育向けソフトとして、WWTを無料で配布している。インターネット接続が前提のソフトであり、日々データはアップデートされている。
実際使ってみると、パソコンのデスクトップがプラネタリウムになったようで、ゲームではないが何時間でも楽しめるほどだ。大人がはまるほどだから、宇宙に関心のある子供なら、のめり込むほど面白いソフトだろう。
宇宙船で飛ぶように、宇宙の画像を楽しめる
WWTはユーザーが自由に視点を変えて、宇宙の画像を見られる。おもしろいのは、単に画像を切り替えて表示するのではなく、WWT上に作られた宇宙地図の中を、ユーザーがマウスを操作して、あたかもスタートレックの宇宙船のように何千光年もの距離を旅する事ができる点だ。
WWTでは、マイクロソフトが開発した「Visual Experience Engine」(仮想体験エンジン)を利用して、世界中の天文台から提供された星雲や惑星の画像をつなぎ合わせて、1つの高精細なイメージを作り出している。ユーザーは任意の星雲をズームしたり、視点を左右に動かしたりして、スムーズに天体画像を動かせる。ワープスピードで移動する宇宙船に乗っているみたいな気分だ。
また、WWTで使用されている天体画像は、目では見えないX線画像や電波望遠鏡の画像なども含まれている。例えば、光学望遠鏡では暗い映像だが、水素ガスの光を画像化した「水素アルファ画像」に切り替えると、天の川周辺の星から発する強力なエネルギーによって照らされる画像が見られる。
こうした画像は、天文台や各種研究機関のウェブサイトで公開されている場合もあるが、宇宙全体を見通せるようにはなっていない。それがWWTを使うことで、ネット上の散らばっている天体の画像をひとつの宇宙の中で一括して見られるようになる。
さらに、天体画像もネット経由でアップデートされ、2009年後半になればNASAが持つ画像が追加される予定もある。例えば、高度約600kmにあるハッブル宇宙望遠鏡や、火星探査のために打ち上げられたマーズエクスプローラーなどが撮影した画像など、なんと約100TB分が追加されるというから驚きだ。
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