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トラブル発生! そのときあなたは?

カリスマネットワーク管理者への道(その2)

2000年10月02日 01時05分更新

文● 監査法人トーマツ 新妻正夫

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 昨日まで特に何も問題なかったPCが、突然ネットワークに接続できなくなるという現象が発生しています。問題が起きたPCはあちこちに分散しているので、ルータなどのトラブルではないようです。最近、Windows 2000 Serverを勝手にインストールしている部署があるので、それが気になるのですが、何か関係があるでしょうか?

 ネットワーク管理者にとって「変化」は敵である。つまり「動いているものはいじるな」ということだ。たとえベンダーから提供されたセキュリティパッチであろうとも、正常に動いているものに変化を加えることは、管理者にとっては怖いものだ。そしてそれがOSやアプリケーションなどのバージョンアップであればなおさらだろう。静的な状態を確実に確保しておき、その状態から些細な変化を読み取って調査するのが、管理者の大事な仕事であり、基本的なトラブル解決のアプローチだ。

 今回のケースのように新たにリリースされたOSをインストールするには、充分なテスト期間を設けてから導入するのがベストだろう。しかし現場ではそんな悠長なことをいっていられないとして、管理者が知らないうちにOSやアプリケーションのアップグレードをしてしまうことが多い。これによりネットワークのみならず人間関係なども含めたトラブルが発生するというのは、管理者の常日頃の悩みとなっているハズだ。ここでは、先日発表されたWindows 2000を例に挙げているが、ほかのOSやアプリケーションのアップグレードにもあてはまることになるので、それぞれ個別に問題点を特定するために日々情報を入手することも管理者の大事な仕事であろう。

勝手に動くDHCPサーバ

 Windows 2000 ServerにはDHCPサーバの機能が用意されているが、既存のDHCPサーバを使っている環境でWindows 2000 Serverを無秩序に構築すると、トラブルの原因になることがある。もちろん、管理者がきちんと設定して利用するには何も問題はないのだが、実験的にユーザーがWindows 2000 Serverをインストールした場合などには問題が発生する可能性がある。実は、Windows 2000のインストール時に、選択できるすべてのオプションを選択するとDHCPサーバのコンポーネントもインストールされるが、この際特に設定などを行なわなくてもデフォルトでDHCPサーバの機能を有効にしてしまう。インストール時のデフォルトではDHCPのコンポーネントは選択されていないのだが、たとえばWindows 2000の機能を試したいためにすべてのコンポーネントをとりあえず選択する場合もあるだろう。

 こうなると、同じネットワークにある既存のDHCPサーバのほかに、管理者の知らないDHCPサーバが存在することになってしまう(図4)。

図4
図4 DHCPサーバが複数存在するネットワーク

しかも、新しいDHCPサーバの設定は、何も設定されていないデフォルト状態のままであり、既存のネットワークとは整合性がとれないこととなる。

 この結果、たまたま異常なDHCPサーバに接続してTCP/IPの設定を行なったクライアントは、当然通常とはまったく異なる設定になってしまう。結果的にそのクライアントはネットワークが利用できなくなる。異常が起きているクライアントのOSがWindows 9xであれば“winipcfg”で、Windows NT/2000であれば“ipconfig”でIPアドレスの取得状況を確認してみよう。もし、本来のIPとは異なるアドレスが割り当てられているとすれば、ここで説明したような現象が起きている可能性が高い。原因が分かれば、あとは問題のサーバを探し出す。そして該当するサーバのDHCPのサービスを停止させればよい(画面2)。

画面2
画面2 管理ツールの「サービス」などからDHCPサーバを停止させる

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