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トラブル発生! そのときあなたは?

カリスマネットワーク管理者への道(その2)

2000年10月02日 01時05分更新

文● 監査法人トーマツ 新妻正夫

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 ネットワークのスピードが急に遅くなったような気がします。ファイルサーバにファイルをコピーしようとするとタイムアウトが起きたり、最初のログオンに時間がかかります。いったい何が原因なのでしょうか?

 ネットワークの遅延には、さまざま原因が考えられる。極端な話、ネットワークを構成するすべてのハードウェアとソフトウェアが関係している可能性があるのだ。そのなかでもよくある原因には、ハードウェアの障害やネットワークトラフィックの異常な増加などが考えられる。

ハードウェア障害の切り分けはたいへん

 まず、ハードウェア障害の場合を考えてみよう。たくさんあるハブのどれか1つが故障して、エラーパケットをネットワークに大量に流しているのかもしれない。あるいはクライアントに搭載しているNICがエラーパケットを流しているのかもしれない。いずれの場合も、ネットワークは非常に遅くなって、さまざまなトラブルの元になる。特にクライアントが増えたわけでもないのに急にネットワークが遅くなったと感じるのであれば、ネットワークを構成するハードウェアのようすを1つずつ確認していこう。

 まずチェックするべきなのは、ハブのコリジョンランプである(写真1)。

写真1
写真1 たいていの場合は、このような“Col”などと書かれたコリジョンランプが用意されているはずなので、まずはこれをチェックする

ランプが激しく点滅しているようだと、コリジョンが大量に発生していることになる。何かがエラーパケットを出している可能性がある。

 ただし、昼間はたまたまネットワークの利用頻度が高いだけかもしれないので、ユーザーが少なくなる昼休みや夜などを狙ってチェックしてみよう。もし、夜になるとおさまってしまうようであれば、クライアントのどれかが問題を起こしている可能性もある。特にトラブルが頻発している場所があれば、その近辺にあるハブやクライアントを一時的にネットワークから外してようすを見てもいいだろう。こういった切り分けで原因となっているハードウェアが特定できればしめたものだ。

 複雑なネットワーク構成をとっている場合には、tracerouteが役に立つ場合もある。クライアントからネットワークが遅いと感じられるサービスを提供しているサーバへのルートを確認して、結果として特に遅い部分が見つかれば、その部分を集中的に調べればいい。

 ともかく、ハードウェアが原因のネットワークトラブルは、調査がとてもたいへんである。ネットワーク構成を決める際には、こういったトラブルのときにも対処しやすいように、ネットワーク機器をアクセスしやすい場所に設置するなどといったことも考慮に入れておくべきだろう(写真2)。

写真2
写真2 本誌編集部では、机の上にラックを置き、そこにネットワーク機器などを設置している。スペースの問題で難しい場合も多いだろうが、こうすれば多少周辺が片づいていなくてもアクセスしやすいはずだ

 また、ハブやルータなどの新機種への入れ替えやファームウェアのバージョンアップ作業も定期的に行なうようにしておいたほうがいい。結果的にトラブルを未然に防ぎ、運用コストの軽減につながることが多いからだ。

トラフィックの増大の理由を探れ

 ハードウェアのトラブルではなく、純粋にネットワークのトラフィックが増加した結果レスポンスが遅くなっている可能性もある。たとえば、ファイルサーバのようすを見ていたら、毎日夕方になると大量のデータが一度に送られてきていた、などということはよくある話だ。理由を調べてみると、実はあるユーザーがクライアントのバックアップを就業時間の終了間際に定期的にとっていただけだったりする。これは積極的にファイルサーバを利用するようになった結果なのでむしろ喜ばしいことかもしれないが、管理者にとっては頭の痛いところだ。

 似たような話だが、やはり夕方になると、レスポンスが急に落ちる。原因を調べてみたら、定時を過ぎたとたんにネットワークゲームをやっているユーザーが大勢いた、などという話もありがちだ。この場合は先の例とは違って、ネットワーク使用の制限など、管理者の強権を発動せざるをえないだろう。

 ただ、仕事にしろ遊びにしろネットワークが導入時に比べて利用されるようになってきているのは喜ばしいことである。早急にレスポンスが改善されるように手をうっておかないと、せっかく利用されるようになったのに「遅いから」という理由でユーザーが離れていってしまうことになりかねない。

ネットワーク増強のポイント

 まず、現状でボトルネックになっている部分を調べておこう。ファイルサーバにアクセスが集中しているのであれば、サーバの挙動を調べて手をうつことも必要だ。Windows NT Serverを使っているのであれば、パフォーマンスモニタなどのツールを利用して、アクセス集中時のCPU使用率やメモリの空き状態をよく調べておこう。メモリの追加やCPUの増強/追加で劇的に改善する可能性がある。

 とはいえ、ハードウェアの増強にも限界がある。より高性能なサーバへのリプレイスや、ファイルサーバを分散して部署などのグループ別に新たに用意することも有効な方法だ。もっとも、管理するサーバの数が増えると手間も増えることになるので、要員の手配など含めて慎重に行ないたいところである。

 スイッチングハブの導入や、10Mbpsから100Mbpsに変えるといったネットワークの高速化も有効な手段だ。ただし、ネットワークのボトルネックを先に解決しておかないとあまり効果が得られない場合もあるので、これらに過剰な期待はしないほうがいいだろう。

 最初はファイルやプリンタの共有だけで便利だったものが、いつのまにかメールやWebの利用は当たり前となっている。ネットワークを前提としたアプリケーションも、今後は増えつづけていくはずだ。管理者としては、ネットワーク環境の改善に日々心を配っておかなければならないのである。

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