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よろしくパソドック 第13回

ノートユーザー救済企画! USB接続のPC電源連動型コンセントを作る

2008年05月26日 21時00分更新

文● 藤山 哲人

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トランジスタを使った本格的な工作だ!

 USBの5Vを検知して12Vの電源をON/OFFするのはトランジスタ。音量を上げたりする部品としても有名だ。もう少し高度になると、スイッチの役割も果たすことを知っているんじゃないだろうか?
 今回の工作では、トランジスタのスイッチ機能を使う。その役割を簡単に説明するとこんな感じだ。

スイッチとしてのトランジスタ

信号がないとき(0V)には、トランジスタ内のスイッチはOFF(図左)。5Vの信号が入るとスイッチがONになる(図右)

 図からも分かるように、トランジスタには信号用の端子とスイッチの端子が2つ、あわせて3つの端子がある。そしてこれが実際のトランジスタ。

実際のトランジスタ

左の足2本がスイッチ端子、右が信号用端子の足。左からE(エミッタ)、C(コレクタ)、B(ベース)と呼ばれる

 さらに回路図では、こんな形でトランジスタを表す。

トランジスタの回路記号

Bに信号が入ると、C-E間がつながると考えていい。また昔は必ず丸で囲んだが、最近は囲んだり囲まなかったり……

 注意して欲しいのは、回路図の足の並びは上からCBEとなっているが、実際のトランジスタは左からECBとなっている点だ。ちなみにトランジスタは“左からエクボ”と足の名前を覚えるといい。
 そして実際に5Vの信号で12VのリレーをON/OFFさせるのが次の回路だ。

これで完成!

左の5VとGNDの端子にはUSBの5VとGNDを接続、右の12VとGNDにはACアダプタの+と-を接続する

 5Vの端子とBの間にあるのは抵抗だ。ここに抵抗を入れないと、USBの5VはありったけGNDに流れてしまってショートする。だからここに抵抗を入れてるってワケ。この抵抗を大きくすれば、USBから流れてくる電流を低く抑えられるので、より低消費電流にできる。でも、あんまり大きな抵抗にしてしまうと、トランジスタが検知できる信号のレベルを下回ってしまうから注意。抵抗の値は、だいたい10kΩが目安と思ってもらっていいだろう。より低消費電流型にしたい場合は、10kΩ以上の可変抵抗(ボリューム)を入れて、トランジスタが検知できるギリギリのラインを探してみればいい。
 「トランジスタが単なるスイッチなら、EとGNDの間にリレーを入れてもいいんじゃないか?」という疑問もあるだろう。実際リレーをE側に入れても動作する。ただトランジスタはメカニカルなスイッチと違って、Cに接続した場合とEに接続した場合に流せる電流が若干違うのだ。この場合は、トランジスタに流れ込む(吸い込み電流)の方が高いので、C側にリレーを接続している。
 さて、以上を加味した最終的な回路図が次の図だ。

これが最終的な回路図

あんまり変わってないが、リレーに対して並列にダイオードが入っている

 大きく変わっている部分は、リレーに並列につながっている▲の記号。これはダイオードだ。まぁなくてもソコソコ動作はするが、ないとトランジスタが壊れる可能性が増える。
 リレーはコイル(電磁石)でできているため、スイッチをON/OFFした瞬間に電圧が発生する。これを逆起電力というが、これがトランジスタに流れ込むと、トランジスタがブッ壊れるのだ。そこでダイオードを追加してトランジスタを保護しているってワケ(詳しいしくみは、Googleで“逆起電力”ってやってみればいい)。

 理論はともあれ、定石の組み合わせがデジタル回路!

 理論は追々分かりゃいいのだ(笑)。
 なおダイオードはリレーをトランジスタなどの半導体で駆動する場合だけつければよく、トランジスタの代わりにメカニカルなスイッチを使う場合はつける必要はない(先日のデスクトップ用連動コンセントもダイレクトに電源につないだので、ダイオードは使っていない)。
 どうだろう? トランジスタのしくみがだいぶ分かったんじゃないだろうか? ある条件によって電源をON/OFFするのは、もうすでにコンピュータの世界。パソコンは、ソレが何百万、何千万セットもあるだけの話だ(笑)。
 ゆえにトランジスタを使った電子工作は、もう本格的な電子工作である! 今日から電子工作マニアを名乗るがいい!
 ただトランジスタを使ったアナログのアンプとかは、話が別。ありゃ、えらい数学を使わなきゃならないので、もう少し勉強が必要になる。っつーか筆者は、アナログ回路はサッパリだ(笑)。

(次ページへ続く)

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