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栗原潔の“エンタープライズ・コンピューティング新世紀” 第4回

いまあえてWeb2.0を分析する(4)──Enterprise 2.0実現の課題

2007年06月01日 00時00分更新

文● 栗原潔

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 前回は、ブログ、SNS、Wiki、ソーシャル・ブックマーク等のWeb 2.0系ソフトウェア(“ソーシャル・ソフトウェア”と呼んだ方が適切だろうか)を企業内で活用する取り組みである“Enterprise 2.0”について紹介した。

 この考え方自身は決して斬新なものではない。実際、多くの企業がブログを社内向けに導入し始めているのはご存知の通りだ。また、技術的にもきわめて高度というものでもない。ある程度の専門知識を持つチームがあれば、ブログの基盤を社内に展開するのは比較的容易だ。また、ブログサービスのプロバイダーを活用すれば、さらに容易にブログ機能の展開ができるだろう。



現実にはなかなかうまくいかないEnteprise 2.0


 しかし、実際にブログを活用し、業務に役立てていくのはそう容易なことではない。社内ブログについて見ても、うまく活用できている事例はあるものの、うまくいっていない事例の方が多いだろう。テクノロジーとして利用可能にはなっているが、誰もコンテンツを書き込まない、あるいは、ごく一部の人しか書き込まない。コメントがほとんど書き込まれず、一方通行になっている。どうでもよいような雑談的情報しか書き込まれず、真に業務に役立つ知識が蓄積されないという状況だ。

 このような問題は、いわゆるコラボレーション系のアプリケーションにおいては典型的に見られるものだ。過去においても、グループウェア、イントラネットなどテクノロジー的な波はいくつかあったが、テクノロジーは導入されたものの、有用なコンテンツが充分に提供されずに塩漬け状態になっている状況は繰返し発生してきた。

 問題の根はテクノロジーにあるではない。「グループウェア製品を導入したがうまくいかなかった。では、次はブログを導入してみるか。」という考え方ではうまくいかないのは目に見えている。問題は、情報や知識を社内で共用し、有効活用するという意識改革の不足にある。

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