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栗原潔の“エンタープライズ・コンピューティング新世紀” 第18回

エンタープライズサーチの真の価値を探る(8)――「意図のデータベース」

2008年01月08日 15時17分更新

文● 栗原潔

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 グーグルが企業として成功できた大きな理由のひとつに「AdWords」(アドワーズ)などの検索連動型広告の提供がある。

 例えば、「パソコン」と「価格」をキーワードにして検索を行なうユーザーは、パソコンや関連商品・サービスを購買する意図がある可能性が高い。そのようなユーザーに対してパソコン関連の広告を提示すれば、その広告をクリックする可能性が高い(さらには商品を購買する可能性が高い)という今では当たり前になった事実を応用したサービスだ。

 ここで、重要なポイントは、サーチの価値は「単にユーザーがキーワードを入力して結果を返すことだけにあるのではない」ということだ。ユーザーが入力したキーワードには「ユーザーに関する重要な情報」(上のケースではパソコン関連の何かを買いたがっている可能性が高いということ)が含まれている。



キーワードの分析から意図を読み取る


 個々のユーザーだけではなく、多数のユーザーが入力したキーワードを統計的に分析することでも重要な知見が得られる。例えば、Yahoo!やGoogleなどの大手サーチエンジンに入力されたキーワードのランキングを見ると、世の中の関心事がどのように変化していくかが明確に分かる。

 また、特定のキーワード――例えば自動車のモデル名などの入力件数の時間的な移り変わりを知ることもマーケティングの観点から重要だ。米国の事例だが、サーチエンジンに自動車のモデル名を入力する頻度と、その後でディーラーに来訪する見込み客の人数(さらには、その後の成約件数)には強い相関があるそうである。

 つまり、サーチエンジンのキーワード統計が自動車の売り上げの優れた先行指標になっているということである。マーケティングやプロモーションの効果測定などに、サーチエンジンのキーワード統計が使われることも多いと聞く。

 ユーザーがサーチエンジンに入力したキーワードを保存したデータベースは、ユーザーの意図(intention)が蓄積されたものである。そこで“Database of Intention”意図のデータベース)と呼ぶことがある。上記の例から分かるように、この意図のデータベースは重要な知識の宝庫だ。

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