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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第118回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 1月13日~1月19日

仕事にやる気が出ない最大要因は「人間関係」、量子コンピューターのセキュリティ懸念、ほか

2024年01月22日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(1月13日~1月19日)は、世界の経営層が「2024年の変化」をどう見ているか、仕事に対するやる気が失われる経験とその理由、注目が集まるCDPの国内市場動向、量子コンピュータのセキュリティに対する認識についてのデータを紹介します。

[経済][動向]世界の経営幹部の88%が「2024年は変化のスピードが加速する」(アクセンチュア、1月18日)
・世界の経営幹部の88%が「2024年は変化のスピードがさらに加速する」と予想
・52%が「2024年の事業環境で直面する変化に対応する準備ができていない」
・生成AIを脅威よりチャンスととらえ、「収益拡大に有益」と見る経営幹部は76%

 20カ国19業種の経営幹部3400人以上を対象に調査を行い「Pulse of Change: 2024 Index」としてまとめた。6項目の変化要因(テクノロジー/人材/経済/世界情勢/気候/消費者と社会)のうち、事業に創造的破壊をもたらす要因として、2022年は6位だった「テクノロジー」が1位に。6項目の変化度合いは2019年以降急上昇しており、過去4年間では183%、過去1年間では33%と加速が顕著となった。生成AIについては76%が「脅威よりチャンスととらえる」としているものの、「加速するテクノロジーの変化への備えが十分でない」という回答が47%を占め、「責任あるAI活用に関する社会的懸念から慎重に投資している」も72%となった。

世界の経営幹部の88%が「2024年は変化がさらに加速」と予測。変化を促す要因は「テクノロジー」がトップに(出典:アクセンチュア)

[仕事]78%が「仕事にやる気が出ない」を経験、最大の要因は「職場の人間関係」(キュービック、1月18日)
・「仕事にやる気が出ない」経験がある人は78%
・仕事へのやる気を左右する要因トップは「職場の人間関係」
・やる気を出すために大切なのは「体調を整える」

 20~50代の男女1023人を対象に、仕事へのやる気について調べた。「仕事に対してやる気が出なかったことがある」と回答した人は78.7%。年代別では20代が最も少なく(75%)、年代が上がると数値も高くなる。「やる気が出ないことで業務や日常に影響が出ている」という回答は、40代が最も多かった。やる気を左右する要因としては「職場の人間関係」が最多、続いて「業務内容」「給与条件」「労働時間・休暇の条件」と続いた。やる気を出すために大切なことは、全体では「体調を整える」が最多となった。

「やる気が出ない」が業務や日常に影響している人は40代が多い/原因のトップは「人間関係」/やる気を出すために大切なことは「体調を整える」。20代は「自分へのごほうび」30代は「趣味を楽しむ」が最多(出典:キュービック)

[セキュリティ]データアクセスを阻害するサイバー攻撃を受けた組織は過去5年間で最大(デル・テクノロジーズ、1月18日)
・過去12ヶ月間にデータへのアクセスを阻害するサイバー攻撃を受けた組織はAPJ地域で57%(世界52%)
・66%(世界69%)が「破壊的サイバー攻撃発生時に復旧できる自信がない」
・76%(世界79%)がパブリッククラウド全体ですべてのデータを保護できると思っていない

 日本を含む世界の公共機関、民間企業のITおよびITセキュリティの意思決定者1500人を対象に、データ保護について調査した「Global Data Protection Index(GDPI) Cyber Resiliency Multicloud Edition」より。APJの57%(世界52%)が過去12ヶ月間にデータへのアクセスを阻害するサイバー攻撃を受けていた。これは過去5年間で最も高い割合だという。マルチクラウドについては、76%(世界79%)がパブリッククラウド全体にわたって全データを保護できることに確信が持てない、39%(世界40%)がパブリック/マルチクラウドのデータセキュリティに課題を感じている、と回答している。

[マーケティング]規制が後押し、CDP市場は2022年度、前年比14%増(アイ・ティ・アール、1月18日)
・2022年度のCDP(Customer Data Platform)市場規模は118億円、前年度比14%増
・2023年度は前年度比13%増を予想
・改正個人情報保護法の施行が後押し、2022年~2027年のCAGRは13%を予想

 改正個人情報保護法の施行によってファーストパーティデータ(自社収集データ)を利用したマーケティングが課題となる中、これを支えるツールとしてCDP(Customer Data Platform)への注目が高まっている。国内のCDP市場規模は2022年度、前年度から14.2%増加の118億円となった。ベンダー全体で新規ユーザーの獲得が進み、既存ユーザーのシステム拡張も進んでいるという。2023年度は前年度比13.6%増を予想、2022年~2027年までのCAGRは13.6%と予想している。

国内CDP市場規模の推移と予測(出典:ITR)

[セキュリティ][量子]61%が量子コンピュータのセキュリティ対策に懸念(デジサート・ジャパン、1月18日)
(https://www.digicert.com/jp/news/digicert-global-study-preparing-for-a-safe-post-quantum-computing-future) ・61%が量子コンピュータ暗号(PQC)のセキュリティ上の影響への対応に懸念
・暗号化データを今収集し、将来的に解読する「Harvest now, decrypt later」攻撃を危惧する組織は74%
・APAC回答者の53%が量子コンピュータのセキュリティ問題への戦略を検討中

 世界のITおよびITセキュリティ担当者1426人を対象に、量子コンピュータ暗号(PQC)に対する取り組みについて調べた。回答者の61%が「PQCのセキュリティ上の影響に対処する準備はできておらず、今後もできないだろう」と回答。また量子コンピュータがセキュリティに与える影響を「なんとなく認識している」(26%)、「認識していない」(23%)と回答した。暗号化されたデータを今収集して、技術が進化した将来解読する「Harvest now, decrypt later」攻撃を危惧する組織は74%だった。日本については、「耐量子コンピュータへの備えに予算を割り当てる可能性は高まっている」という。

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